月々数百円~1,000円程度でさまざまなサービスが受けられる月額定額料金によるサービスは、一見とてもおトクにみえます。音楽聴き放題、動画見放題、雑誌読み放題などが月に無理のない負担で実現するのは、今のネット社会ならではの利点です。

ですが、そうしたサービスもあれこれ欲張っているうちに見過ごせない額を毎月払うことになってしまっている人も。家計を圧迫されないためにも、月額定額との上手な付き合い方を考えてみましょう。

家計を圧迫する"月額定額"との上手な付き合い方(画像はイメージ)

家計にじわじわと侵食する"月額定額"という固定支出

家計の支出を無駄に増やさないためには、固定支出をなるべく減らすことが効果的です。固定支出とは、毎月決まった額を支出している費目のこと。大きなものでは、家賃や住宅ローンなど住居費を始め光熱費や携帯電話などの通信費、子供の学費や塾・習い事費用、保険料などなど、固定支出は毎月の支出の多くを占めています。

特にここ数年、月額定額のサービスが急増しているので、どの家庭でも知らず知らずのうちに固定費が増えている傾向です。どんなものを利用しているのか、一度すべてを洗い出して、取捨選択してみるといいでしょう。

ネット関連のサービスは月額固定がかさみがちなので要チェック!

月額定額サービスで家計を圧迫しているものは、毎月何万円もかかるものではなく、数百円~数千円程度のものがほとんどです。それでもちりも積もれば見過ごせない額になるので、わずかだからと見逃さずに厳しく精査する必要があります。

どんなサービスがあるかというと、最近ぐっと増えているのが、Apple MusicやAWAに代表される音楽ストリーミングサービス。月額数百円~1,000円台でさまざまなジャンルの音楽がスマホなどで聴き放題になることから、若者を中心に人気があります。

またhuluやNetflixなど動画配信サービスも映画やドラマなどをいつでも気軽に見られることから契約している人が増えています。そのほかにも漫画や雑誌などの読み放題、DVDレンタルサービス、アプリ取り放題などネット関連のサービスの多くは月額定額になっています。CS、BSテレビのチャンネル配信なども同様です。

これらはお試し期間は無料としているものの、その後は解約手続きをしないとそのまま課金・継続されることが多く、試したままあまり使わないのに続けているケースも少なくありません。

また、Yahoo!プレミアムやタイムズカープラス(カーシェアリング)などサービスを利用するための月会費も月額固定のひとつです。月会費が必要なサービスは、毎月コンスタントに使っているなら問題ありませんが、たまにしか利用しないなら確実に無駄なコストを増やすことになります。時々使うという程度の人は、こまめに解約して必要なときだけ契約するという手間を惜しまないのがポイントです。

通販などの定期購入も年単位では結構な額になるので気をつけて

女性や年配の方などに多いのが、化粧品や健康食品、サプリなどの定額購入を利用している人。こちらも最初は無料サンプルがもらえたり、お試し価格で安く購入できたりしますが、定期購入に申し込むことを前提にしているケースが増えています。定期購入は割引価格で購入できるなど一見おトクなように感じますが、これだけいろんなものがあふれていて、新しい商品が次々に出てくる世の中で、ひとつのものを継続して使い続けることはまれなのではないでしょうか?そう考えれば、使い終わったら新たに注文する方が結局安上がりになります。

毎月5,000円で健康になれるなら、サプリを取り続けても家計の負担にならないかなと思いがちですが、年額で見ると6万円もの出費になります。それだけの支出をしても必要なものかどうかしっかりチェックしてください。

もちろん、とても気に入ってずっと使い続けたいものは、定期購入で安く手間なく入手するのがいいですが、何となく良さそうとか続けた方が安いからなどの理由で安易に申し込むのは、その後の無駄を招きやすいので避けた方がいいでしょう。

予算を決めて取捨選択と、こまめな見直しが上手な活用のポイント

月額定額は、携帯電話のサービスにも数百円単位でさまざまなものがあります。契約をするときに「1カ月したら解約して大丈夫ですが、最初だけ付けてください」と言われてつけたものの、そのままにしているという人もいるのではないでしょうか。毎月数百円ずつ使わないサービスにお金を払っていることになります。

数百円だからいいやと思っても、それがいくつも重なれば、毎月数千円も無駄にお金を捨てることになります。そうしたお金は年間では数万円にも上ってしまうのが月額定額の怖いところ。知らない間に家計をむしばんでいきます。 ですから、少なくとも半年に1回は、銀行口座やクレジットカードから定期的に引き落とされているお金の内容をチェックすることが大切です。数カ月使っていないものは、即刻解約すること。

頻繁に使うかわからないサービスは、必要があって使った直後にいったん解約するとルールを決めておくのもいい方法です。

家計の中の固定費を増やしてしまうと、自由に使えるお金がそれだけ減ってしまいます。月額定額の料金体系は今後も増えていく傾向にあると思いますので、本当に必要かどうか厳しい目を持って取捨選択していくことが家計管理をする上でこれからますます大切になります。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。

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