「災害用トイレの備蓄」、「している」は16.6%、「していない」は83.4%に

一般社団法人日本トイレ協会 防災・災害トイレ特別研究会はこのほど、災害用トイレ備蓄に関するアンケート調査および災害用トイレメーカーの生産率を発表した。同調査は10月18日、全国の20代~80代の男女1,000人を対象に、インターネットアンケートにて実施された。

同会によると、1995年1月17日に阪神淡路大震災、2011年3月11日に東日本大震災、2016年4月14日に熊本地震と、災害発生の度に食糧・飲料・日用品の備蓄の重要性が叫ばれてはいるものの、トイレの備蓄はあまり進んでいないという。今後30年の間に「南海トラフ地震」「首都直下地震」が発生すると言われている現在、日本の一般家庭ではどれくらい災害用トイレ(簡易トイレや携帯トイレなど)の備蓄が進んでいるかを調べるため、同調査の実施に至ったとのこと。

「あなたの家庭では、災害用トイレを備蓄していますか?」と聞いたところ、「備蓄している」は16.6%、「備蓄していない」は83.4%となった。

男女別の「災害用トイレの備蓄」状況

年代別の「災害用トイレの備蓄」状況

同会が内閣府資料「南海トラフ地震想定ポイント(P.7~8)」および「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画(P.38)」から算出した結果、南海トラフ地震の被害想定は、避難所の避難者数は約950万人。また、上水道支障率(断水率)は約28.6%、1人あたりのトイレ使用回数は1日5回となった。1家族(4人)の3日間のトイレ利用想定は60回分となり、この結果から、1家族での備蓄推奨数も60回分が適当とみられる。

これらの結果を受けて同会は、「全国的に、災害用トイレの備蓄がされてないことが分かりました。また、日本中の災害用トイレメーカーは地震が起きてから、一斉に生産しても、地震発生3日後に『約679.8万回分』しか生産できないことも分かりました」とコメント。「一方、政府は災害が起きた後、4日目から7日目までの4日分の災害用トイレや食・飲料、日用必需品を被災地に届けるプッシュ型支援を行いますが、初動から最低限3日分、できたら7日分は自助・共助で備蓄をお願いしております」としている。

さらに、「現状として、初動の3日間や7日以降、一人平均1日5回のトイレが適切な処理をされないと、衛生面からの感染症、さらにトイレに行かなくなると健康被害(エコノミークラス症候群など)にかかる人が続出する可能性があります」「災害用トイレ備蓄を推奨します」との見解も公表した。