「叫べ」が浮かんできたときは「これで間違いない!」

――ここからは表題曲『叫べ』についてお聞きしたいと思います。デビュー曲にしていきなり作詞にチャレンジされているんですよね。

そうなんです。『魔法少女育成計画』のタイアップ曲なので、まずアニメの世界観に合わせ曲を作っていただき、そこから歌詞を入れていきました。

――『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』でも作詞の経験をされていますが、今回はいかがでした?

経験が少ない上に、作品のことを表現しつつ、自分の言葉を入れていくのはいかんせんやったことがないので、戸惑いや悩みがたくさんありました。でも、『魔法少女育成計画』がどういう作品かは知っていたので、最初に曲を聴いた時に「なるほど」とストンと納得できました。「この曲と作品をどうつなげるんだ……」というところまで悩むと、完成まで時間がかかってしまうので、そこは良かったです。

――「タイアップ曲の作詞」ならではの感覚ですね。

いま考えると、作詞は大変でしたけどタイアップ曲でよかったと思います。「自分を表現する」ということが苦手なので、「全部自分の言葉で、自分が言いたいことを表現して」と言われたら、もっと困ったと思います。タイアップ曲なので、描かなければならない世界観がありますよね。そこをどう自分の言葉として表現していくかという作業は、キャラクターソングを歌っている時と通じる部分があったかもしれないです。作詞の一歩目としてはこの形で良かったかな。

――作詞自体はすんなり出来ました?

たたき台は一晩で書けましたが、「言いたいこと」や「この言葉を使いたい」ということと、その言葉を曲に乗せて気持ち良いかどうかはまた別の問題なんですよね。とにかくサビが一番悩みどころでしたね。書き終えたらプロデューサーに渡して、「サビはもうちょっと疾走感があったほうがいい。文字数があったほうがいい」といったアドバイスを受けつつ、3~4回ほど書き直しました。全部で一カ月半くらいかかりましたね。

――作詞は頭から考えていったんですか?

一番のAメロ「見つめてる 嘘ばかりの世界」からですね。そこはすぐ出てきました。

――タイトルにもなっている「叫べ」というワードが出てきたのは。

結構遅かったですね。ロングトーンが多い曲調なので、「いー」とか「うー」とかの音で伸ばすとつらくなるなという、自分が歌うときのことを考えるという弱気なところもありました(笑)。「叫べ」が浮かんできたときは「これで間違いない!」と思いました。「叫べ」から全体像が出来上がっていきましたね。

――そこで確信が生まれた。ということは、タイトルの「叫べ」はあとになって付けたんですね。

はい、最初は「Shout」と英題だったんですよ。歌詞には結構強い言葉を並べたので、タイトルはマイルドにしようと思って。でも「その強さのまでいいんじゃない」と言われ、「叫べ」になりました。

心穏やかな「言の葉」とバカになれる「HEY!」

――2曲目「言の葉」は、「叫べ」と対称的にゆったりと流れていきますね。

カップリング曲に関しては希望を聞いていただけたので、「叫べ」は強い曲だし歌詞も激しいので、「2曲目は心穏やかに聴ける曲がいい」という話をしました。「言の葉」は、愛する人のことを歌っているんですけど、恋人でも、家族でも成り立つと思います。大切な人を思って、温かくなってもらえたらいいですね。

――レコーディングで印象に残っていることはありますか?

自分で作詞をしたわけではないので、「歌詞をちゃんと理解していかないと」と臨んだんですけど、やっぱり本番で歌うからこそ見つかる発見がありました。レコーディング中に、落ちサビのあたりで、突然歌詞に感動して自分の中で勝手にドラマが生まれてきて、ちょっと息が詰まっちゃったんです。これは多分誰にもバレていないと思います(笑)。これまでなかったことなので、すごく印象的な出来事でした。

――自分として表現するからこそ生まれた感情なのかもしれないですね。3曲目「HEY!」はいかがでしょうか。

「HEY!」のコンセプトは「バカになれる曲」です。「私もお客さんも一緒に、みんなで騒いで楽しくなれたらオッケーくらいの曲がいいです」とお願いしたら、思っていた以上にパワフルで、元気なコールアンドレスポンスが出来そうな曲になりました。今、楽曲はすべて完成して私の手元にあるんですけど、いまは「HEY!」のターンでずっと聴いています。ファンの皆様の前で歌うのが楽しみですね。

――「叫べ」、「言の葉」、「HEY!」と幅が広いですよね。いろいろな顔を見ることができで楽しいです。

そうなんですよ。一枚のシングルで落差がありますよね。「叫べ」に合わせて強めのジャケ写を撮っているので、その絵に合わせて曲テイストを揃えるという手もありました。そうじゃなく、「まずはいろんな面を見せていこうよ」と作成していただいたことがありがたいです。