メドピアは10月13日、医師を対象に実施した「高額薬剤の使用制限に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は9月5日~11日、対象はMedPeerに会員登録した医師で、有効回答数は4,199人。

「民間の保険でカバーすべき」という声も

厚生労働省が9月に発表した2015年度の医療費(概算)は41.5兆円で、過去最高額を記録。医療費増加の要因は「高齢化や医療技術の高度化に加えて、高額な医薬品の使用が増えたため」(同省)とされる。

同省は医療費の財源を圧迫する高額薬剤への緊急的な対応として、抗PD-1抗体「オプジーボ」などの薬価の引き下げを含む検討を開始した。

こうした状況を受け、メドピアは医師に「『高額薬剤の使用制限』についてどのように考えるか」を尋ねるアンケートを実施。その結果、「制限すべき」が51.7%過半数、「制限すべきだが、実際には難しい」が35.5%となった。一方「制限すべきではない」は4.7%、「わからない」は8.1%でいずれも1割未満であった。

「『高額薬剤の使用制限』についてどのように考えるか」

「制限すべき」という医師からは次のようなコメントが上がった。

「一部の利益のために全体の資源を食い潰して医療が受けられない人が出てくるのは問題だと思う。患者としてはわらにもすがる思いなので薬自体は否定できない。民間の保険でカバーするのがベターだと思う」(30代、整形外科・スポーツ医学)、「限られた予算を有効に使うべきで、財政破綻するような使い方はすべきでない。そのためには制限は当然。命のためなら金に糸目はつけないという時代ではない。どうやって制限するかは難しいが、高齢者の医療費を増やすべきではない」(40代、一般内科)

「制限すべきだが、実際には難しい」と回答した医師のコメントは次の通り。

「高額薬剤を制限することは、実際の臨床の場では困難だと感じている。長期生存が可能かもしれない選択肢があるのにそれを提示しないのは犯罪に近い。年齢等で制限するのも困難。自己負担金額を増やすのが良いと思うが、日本国民が受け入れるか疑問」(50代、呼吸器内科)、「効果のある薬の効果をできるだけ多くの患者が享受できるように工夫が必要。ある程度の薬価がつかないと新しい薬剤開発ができない。そうなると薬剤効果を享受できない。保険の破綻も薬剤効果の享受にマイナス効果。そのバランスが大切」(50代、一般内科)

「わからない」と回答した医師からは「巨額の税金が必要とされるのでしょうが、望みがあるのなら患者さんは使用したいと思うのでは、と思うと、制限すべきかどうか、私にはわかりません」(40代、健診・予防医学)、「他の国のように、当初薬価を低く設定し、効果があれば薬価を上げるようにすればいいような気がするのですが」(30代、整形外科・スポーツ医学)という声が上がった。

「制限すべきではない」という医師からは「医師には最善の治療を行う義務があり、患者はそれを受ける権利がある。薬剤費、医療費は、適正に設定すべきです」(60代、一般内科)、「有効性と対象患者が明らかならば使用制限はすべきではない。むしろ低額で有効性に疑問があり、大量に使用されている薬剤を使用制限や保険不適用にすべきである」(50代、小児科)といった意見が寄せられた。