国土交通省・千葉県・空港周辺9市町・成田国際空港は9月27日、四者協議会を開催し、さらなる機能強化の検討を進めるにあたっての確認書を締結。第3滑走路であるC滑走路の新設とB滑走路の北側延伸のほか、運航可能時間を5時~1時に拡大する夜間飛行制限の緩和などへの検討を進めることで合意した。

訪日外国人旅行者数を2020年に4,000万人、訪日外国人旅行消費額を2020年に8兆円とする新たな目標を掲げ、首都圏空港の機能性強化を目指す

四者協議会は、2020年代前半には首都圏空港の航空需要が現在の計画処理能力のほぼ限界に達する見込みとの航空需要予測が国から示されたことを受け、首都圏空港機能強化技術検討小委員会において首都圏空港のさらなる機能強化の必要性について提言されたことを受けたもの。2015年9月より、第3滑走路の整備やB滑走路の延伸、夜間飛行制限の緩和を内容とする、成田空港のさらなる機能強化について議論を重ねてきた。

発着容量50万回時の成田空港の全体像について、成田空港は滑走路の配置案(C滑走路の新設、B滑走路の北側延伸)、空港敷地範囲(約1,000ha拡大)、夜間飛行制限の緩和(運航可能時間を5時~1時に拡大)、予測騒音コンター(50万回時)を提案している。そうした対応で必要となる環境対策・地域共生策として、周辺対策交付金の充実、防音工事の施工内容の充実、夜間飛行制限の緩和に伴って必要となる深夜早朝対策などを示している。

B滑走路の延伸および第3滑走路の整備の計画案

滑走路の具体的な位置および空港敷地範囲は、B滑走路を北側へ延伸し、B滑走路の進入復行区域がC滑走路と重複しないようにすることを検討(両滑走路の南北方向の離隔: 3,325m)。また、C滑走路とB滑走路の間隔については、エプロン等の諸施設の配置上なるべく遠ざけ(B・C滑走路の中心線間隔:420m)、圏央道の整備計画とも整合を図る。なお、横風用滑走路(長さ3,200m)として検討していた地区に関しては、あらためて地域社会に提案することはせずに、エプロンや空港諸施設の施設展開用地として検討を進めていくとしている。

現状の施設規模等から50万回時に必要となる施設規模を算出すると、滑走路で約900ha、エプロン(誘導路含む)で約800ha、旅客ターミナル・空港諸施設で約300ha、貨物取扱施設で約100ha、その他(給油施設・防音堤等)で約300haと、現状の約1,400haから1,000haを加えた約2,400haを想定。1,000haと大規模な敷地拡張となるため、展開候補地については今後、関係者と協議・検討していく。

50万回時に必要となる施設規模

成田空港の新たな展開候補地

運航時間に関して、現状の運航可能時間は6時~23時と定められており(悪天候や安全上の理由等による緊急事態を除く)、22時台は各滑走路10回までの便数制限を設定(22時台便数制限遵守のため、21時台発着枠にいても自主規制を実施)、カーフューの弾力的運用を23時から24時までの時間帯としている。なお、弾力的運用の時間帯における運航については、騒音対策・地域振興のために一定の料金(例:着陸料相当額)を追加徴収して地域に還元している。

今回検討している夜間飛行制限の緩和については、5時~1時と早朝に+1時間・深夜に+2時間で全3時間拡大する計画となっている(悪天候や安全上の理由等による緊急事態を除く)。加えて、現在設けられている22時台の便数制限やカーフューの弾力的運用は廃止となる。

成田空港では現状、北米との乗継便が集中する夕方のピーク時間帯(15~18時台)および夜間(21~22時台)の発着枠は既に満杯であり、航空会社の要望に十分応えられていない状況となっているとのこと。なお、アジアおよび国内の各空港の旅客便では、深夜はおおむね1時台まで、早朝はおおむね4時台から一定のフライト需要が存在し、特にアジアの主要空港の貨物便では、早朝/深夜時間帯に貨物便需要が集中している。

アジアおよび国内の各空港における深夜早朝時間帯の運航状況(旅客便)

アジアの主要空港における早朝/深夜時間帯の運用状況(貨物便)

騒音コンターおよび環境対策の検討に関しては、国交省が想定した第3滑走路の整備およびB滑走路の延伸による飛行コースを踏まえ、滑走路ごとの年間発着回数や時間帯ごとの発着回数、機材構成比、 南北運航比率より、騒音影響を予測。この50万回時コンターに基づき、交付金配分方法の見直しや深夜・早朝対策(寝室内窓設置)など、国・自治体とも協力しながら、地域住民と双方向の対話を通じて検討・調整を行うとしている。

B・C滑走路の飛行コース

50万回時の騒音コンター

今後については、四者協議会で触れられた確認書を踏まえ、地域住民への丁寧な説明を実施。理解と協力が得られるよう最大限の努力を行い、あらためて協議をした上で対応していく。