ライフスタイルについて

――ベストなライフスタイルの見つけ方について、「どうすれば自分が幸せか」を知ることが重要とありました。それを知るためには何をしたらいいですか?

小さな頃から自分で決めるという経験をしていないと、「自分の実感で決めてください」って言われても難しいのかもしれないです。決める基準は、例えば飲み会の誘いがキャンセルになったとき、ホッとしてうれしいと思うのなら、その飲み会は行かなくて良いんです。消去法でいらないことから削除していくと、やりたいこと、会いたい人、行きたい場所がわかってくるのではないでしょうか。世間や社会が「こうあるべき」というものは、必ずしも悪いものではないですが、実感を持って、必要か必要でないかを選択していけると良いですね。

――大原さんは、いわゆる「理想の老後」を30代で既に実現しています。将来やってみたいことや、パートナーができたときのイメージはありますか?

パートナーを持つことは特に考えてないですし、予定もないですけど、そういう人ができたら、一緒に生活してみても良いかな。この生活をどうしても続けたいということではなくて、そのときの状況環境に合わせてしなやかに変わっていけたらなって思っています。また、ゆくゆくは農業をやってみたいです。どうにもならないことを相手にすることに興味があります。

――とてもハッピーに生活している感じが伝わってきます。

主体的に選んでこの生活をしているので、楽しいです。自分で選択することは楽しいんです。緊張するし怖いし失敗するかもしれないけど、人に決められるよりは良いです。社会や世間など、他のせいにすることは楽ですが、自分で快適であることを選んでいかないと、生きづらくなるんじゃないかなと感じています。

「理想の老後」をすでに実現した大原さんが目指すものは?

――自分が快適であることを選ぶのが重要とのことですが、今後住んでみたいところはありますか?

西荻窪と下北沢に住んでみたいな、と。

――まさかの23区内(笑)。仙人のような生活をされているので、例えば多摩の山奥などが候補にあがるのでは? と予想していましたが……。

誰もいない山の中にいたら隠居しかやることがないじゃないですか(笑)。人々が生活している感じがあるところが好きですね。こんなに都会の誘惑があるのに、あえて隠居する、というのは面白そうです。

――最後にお聞きします。30代ですでに隠居されている大原さんは「長生きしたい」と思いますか?

いつまで生きるかはわからないですけど、100年後の世界を自分の目と体で見てみたいですね。そのときにどう変わっているのか興味があります。

――そのときは、本当に仙人になっているかもしれないですね。

仙人は多摩にいた! とか、ネットニュースになってるかもしれないですよね(笑)。

終わりに

大原さんからは、年収90万円とは思えないハッピーに過ごしているエネルギーが感じられます。それは、「嫌なことをしない」「嫌な人に会わない」という、本質的に贅沢な生活を送っているからなのでしょう。

社会や世間は、消費活動を促し、やりたいことで社会貢献できることを見つけさせたがる風潮がありますが、大原さんはそれらすらも、快適ではないと感じるなら必要がないという、新しい価値観を提供しているのではないかと感じます。

自分自身で快適さを選択するライフスタイル、ハッピーな脱欲生活が、これからの主流となっていくかもしれません。

【書籍紹介】
『年収90万円で東京ハッピーライフ』(著:大原扁理、イラスト:死後くん/太田出版/1,400円+税)


年収90万円で、誰よりもハッピーに暮らす方法(しかも東京で)。

「親も先生も信用してはいけない。就職しなくても生きていける。終身雇用なんて期待するな。世間の常識は疑ってかかれ。同調圧力や空気に負けるな。人生は一度きり。他人に自分の運命を左右されるのは御免だ。など、僕と考え方はほとんど同じだ。『働かざるもの食うべからず』なんて、古い。」(推薦文:堀江貴文)