役を演じるということ

――人気漫画のキャラクターを演じることも多いですが、何か心がけていることなどはありますか?

キャラクターを理解する気持ちは、原作があろうとなかろうと、どの役でも120%出しています。一つあるとすれば、アニメ化されている作品は、アニメを見ないようにすることです。アニメの声優さんは役者さんですし、自分がその演技に影響されやすいのはわかっているので、漫画だけのイメージと自分の発見を頼りにしてキャラクターを作り上げ、現場で修正しています。

――それはこれまでの経験で培われたものですか?

高校1年の時、初舞台『FROGS』演出の岸谷五朗さんにゼロから教えて頂いた経験は大きかったです。すごく尊敬していますし、父親のように思っています。愛情を持って接してくださり、ダメなことに関してはダメと言ってくださるので、ありがたいです。

――厳しいことを言われると、すねてしまうような人も多いですが、ありがたいと言えるのは素晴らしいですね。

僕も現代人ですけど(笑)、怒られ慣れていなくて拗ねてしまう人もいるなとは思います。僕は失敗するのは当たり前、怒られるのも当然だと思いますが、怒られて拗ねてしまって、あえて言ってくれていることも全部聞かなくなるのはもったいないと思っています。

涙は我慢できない方

――『ベイビーステップ』では、クランクアップの時に泣いてしまったと伺いました。

感極まっていました(笑)。クランクアップのシーンが、本当に最後のシーンだったんです。カットかかってOKが出て、一歩一歩進むごとに大変だった日々、みんなで努力して話し合った日々がフラッシュバックして、監督と握手した時にはもう、号泣していました。普段は意識していなくても、大勢の方に支えられていたことが、最後に重みに変わって、ありがたいなと思いました。

――泣いたりすることは結構あるんですか?

あります。我慢はできないです(笑)。稽古場とか、本番中に悔しいことがあったら、1人でホテルや帰り道とかでぽろっと泣いてしまったりします。「なんでこんなに出来ないんだろう」って自分を叱責することは多々あります。心許す人の前ではいろんな気持ちを吐露してしまったりもします。逆に嬉しい時は、あからさまに嬉しいと、良くも悪くも表情に出てしまいます(笑)。

――今たくさん同世代の俳優さんがいますが、意識することはありますか?

正直に言うと、あまり気にしていないです。お仕事って縁だと思っていて、自分自身がどうするか、自分が選択してどこへ行くかということだと思うので、気にしないです。

ただ、いい意味でのライバル関係はあります。負けず嫌いなので、もっと頑張らないとなって、刺激になります。同世代の役者さんが多いからこそ、自分の実力も知ることができて、「まだまだだな」と思えるのはいいことだと思います。

――俳優さんの中では、小越勇輝さんと仲が良いと伺いました。

彼は年上だけど、ライバルだと、僕は勝手に思っています。一緒に舞台をやって、すごく通じ合えたというか、言葉にしなくても熱く太い信頼関係ができたと思うので。最近なかなか会う時間はないんですけど、彼が『弱虫ペダル』の撮影に入る時に「頑張ってね」とメールを送りました。ちょうど『ベイビーステップ』の撮影が終わった後に、『弱虫ペダル』の情報が解禁されて、2人とも映像作品と言う事で親近感もありましたし、仲間としてエールを送りました。

『ベイビーステップ』完成披露試写

――こんな俳優を目指したいという像はありますか?

海外でも挑戦したいです。挑戦というと軽く聞こえるかもしれないですけど、自分は他言語や他国にすごく興味があるので、どこの国でも、すべての人を楽しませたいです。

――大きいですね……! 日本だけでなく、地球上。

一人残らず(笑)。もちろん、日本で結果を残すことも目標なのですが、自分の国だけじゃなくていろんなものを知りたいという好奇心と向上心からの答えです。