東武鉄道は19日、蒸気機関車C11形207号機の南栗橋車両管区への搬入作業を報道公開した。同社は2017年夏をめどに日光・鬼怒川地区でSL復活運転をめざしており、全国の鉄道会社の協力・支援の下、車両・施設の整備や乗務要員の養成などを進めている。

JR北海道から貸与されたC11形207号機。東武鉄道の南栗橋車両管区に到着した

今回、南栗橋車両管区へ搬入されたC11形207号機はJR北海道から貸与された蒸気機関車。1941(昭和16)年に日立製作所笠戸工場で製作され、1974(昭和49)年の廃車まで一貫して北海道で使用された。2000(平成12)年からJR北海道が動態保存機として使用開始し、「SLニセコ号」を中心に「SL冬の湿原号」「SL函館大沼号」などで活躍した。

C11形207号機は今月12日にJR北海道苗穂工場を出発。トレーラーでの運搬となり、陸路で苫小牧港に到着した後、14~15日にかけてフェリーで大洗港へ運ばれた。しばらく待機した後、19日未明に大洗港を出発。朝8時前には南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)の敷地内に到着していた。報道公開では、同管区内に新設された検修庫前へトレーラーが移動。そこで運搬用カバーが外され、C11形207号機がお披露目となった。

続いてクレーンで吊り上げ、検修庫前の線路へ移す作業が行われた。多数の作業員が携り、その周囲を報道陣が囲む中、C11形207号機はゆっくりと浮かび上がり、30分ほどかけて線路上へ。その後、C11形207号機の外観撮影が実施された。煙突や運転室をはじめ、運搬の都合で取り外された部品も多く、後に組立て作業も行われるとのことだった。今後は検修庫で整備・検修を行い、南栗橋車両管区内で訓練運転を行う予定とされている。

トレーラーで運ばれたC11形207号機はクレーンで吊り上げられ、線路上へ

東武鉄道は昨年8月、「鉄道産業文化遺産の復元・保存」「日光・鬼怒川地区の交流人口創出や沿線活性化」「栃木・福島エリアの支援活性化の一助」を目的に、約50年ぶりとなるSL復活運転をめざすことを発表した。2017年夏をめどに、鬼怒川線下今市~鬼怒川温泉間で土休日を中心に1日3往復程度、年間最大140日程度の運転を予定している。

SL復活運転は蒸気機関車・車掌車と客車3両、さらにディーゼル機関車を加えた編成で運行。下今市駅と鬼怒川温泉駅に転車台を設置する。車掌車はJR貨物とJR西日本、客車はJR四国、ディーゼル機関車はJR東日本、転車台はJR西日本から譲渡され、年末までに順次受け入れる予定。あわせてJR北海道・秩父鉄道・大井川鐵道・真岡鐵道の協力の下、蒸気機関車の知識に長けた検修員および乗務員(機関士・機関助士)の養成も進めている。

C11形207号機の南栗橋車両管区への搬入作業の様子

C11形207号機の外観(南栗橋車両管区への搬入時)