――また、悠や仁以外にも4,000体もの「アマゾン」がいて、それらを「狩る」ことで報酬を得る荒くれものの集団「駆除班」の面々がとても個性的に描かれていました。彼らのキャラクター作りはいかがでしたか。

小林:駆除班のメンバーは、当初はもっとドライな人物像で描いていたはずなんですけど、石田(秀範)監督がとても優しく、情の厚い方なので、彼らがだんだんそっち(優しい)方面に寄っていく形になりましたね。仲間がそれぞれのことを思いやっている、って部分は石田監督がどんどん厚みを増していったところが大きいです。

――表面上は冷たい言葉をかけながら、実は仲間のことを心配しているというリーダー・志藤の人物像には『必殺仕事人』などのピカレスク時代劇にも通じるカッコよさがありますね。

小林:モロにそういうシーンも書きましたよね。「この金取らなきゃただの人殺しだ」みたいな(笑)。ある意味、ヒーロー作品だからという制限を気にしないで作っていた部分はありますね。

白倉:「俺たちは何のために動いてるんだ、世のため人のためか。違うだろ、金だ!」なんて、すごいセリフがあるでしょう。なんてドライなんだ、さすが『必殺』好きの靖子にゃんだって思いましたよ(笑)。

小林:人数がいるので、セリフを書くときは各々のキャラが被らないようにするのがけっこう大変でした。

白倉:第4話だったか、台本を読んだ役者さんたちが「これは自分の言うセリフじゃない」と、キャラのセリフを交換したいと言ったことがあったんです。その回だけならまだしも、次の展開もあるわけなのでそういう事態になったら次が書けないと、靖子にゃんが音を上げたこともありました。

小林:最終的には、変更したキャラに合わせる方向に持っていったんです。

白倉:どうしてもここは変えられない、という部分は軌道修正して、アフレコをやり直してもらったところもありましたね。

――ロケ場所など、脚本のイメージから変わったところなんてありますか。

小林:場所についてはロケの都合もありますので、よほど意味がない限り、現場にお任せしています。

白倉:プロットの段階からロケ場所については具体的なポイントを決めて、撮影場所の目星がついてから脚本に取りかかっていただきました。第3・4話のマンションや第7・8話の廃車置き場などがそうですね。

小林:第9話のレストランなんて、撮れるか撮れないかが決まらないとああいう話は書けないですね。マンションは、あんなすてきな物件が見つかるとは(笑)。

白倉:マンションはセット撮影もやっているんですが、あのときたまたま、シリーズものの2時間ドラマが最終作を迎え、それを使わせてもらったんです。


後編に続く。

『仮面ライダーアマゾンズ』は、Amazon プライム・ビデオにて全13話が配信中。テレビ版はBS朝日にて毎週日曜深夜25時~、TOKYO MXにて毎週水曜22時30分~放送されている

(C)2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 (C)石森プロ・東映

白倉伸一郎
1990年に東映入社。91年に『鳥人戦隊ジェットマン』よりプロデューサー補として参加し、以降『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー電王』『仮面ライダーディケイド』などのチーフプロデューサーを担当する。現在は東映株式会社取締役、東映テレビ第二営業部長
小林靖子
脚本家。『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー電王』などの平成ライダーシリーズ、『烈車戦隊トッキュウジャー』などスーパー戦隊に代表される特撮作品をはじめ、数多くのTVアニメ、劇場作品を担当