嵐・二宮和也が、『おくりびと』(08年)などの滝田洋二郎監督がメガホンを取る映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(2017年秋公開)で主演することが、このほど発表された。2人がタッグを組むのは、今回が初となる。

映画『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』主要キャスト陣(上段:左から綾野剛、西島秀俊、宮崎あおい 下段:左から竹野内豊、笈田ヨシ)

原作は、料理番組『料理の鉄人』などを手がけたバラエティ演出家・田中経一氏の同名デビュー小説(幻冬舎文庫より8月5日発売)。戦時中に生み出された幻のレシピを巡る物語を描く。本作では、企画を作詞家・秋元康氏、脚本を『永遠の0』(13年)で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞した林民夫氏が担当。料理メニューの映像化と出演者の調理指導は、料理評論家・服部幸應氏と服部栄養専門学校がバックアップする。

二宮のキャスティングは、滝田監督の熱烈なオファーによって実現。劇中では2000年代初頭と1930年代、2つの時代が平行して語られる。現代パートは、絶対味覚="麒麟の舌"を持ちながらも料理への情熱を失ってしまった二宮演じる主人公・佐々木充が、関係者たちの証言を集めながら「消えたレシピ」の解明に挑むミステリアスな展開。過去パートでは、太平洋戦争直前の時代を舞台に、レシピ作成に人生をささげた、もう1人の"麒麟の舌"を持つ料理人・山形直太朗と、彼の信念を支え続けた人々の運命を映す。

原作書影

また、現代パートには綾野剛、笈田ヨシ、過去パートには西島秀俊、宮崎あおい、西畑大吾、竹野内豊も出演。物語の核を担うこの6人もまた、滝田監督がこだわった配役で、綾野は充の唯一無二の理解者で大衆中華料理店の雇われ店長・柳沢健役を、笈田は世界各国のVIPがその料理を食べに来るという中国料理界の重鎮・楊晴明(よう・せいめい)役を、西島は天皇の料理番として宮内省に勤めていたが「大日本帝国食菜全席」作成のため満州に渡る料理人・直太朗役を、宮崎は直太朗の妻・千鶴役を、西畑は直太朗の調理助手として雇われた若い料理人・鎌田正太郎役を、竹野内は満州国ハルビン関東軍司令部に籍を置く大日本帝国陸軍大佐で後に少将となる三宅太蔵役を、それぞれ務める。

「切る音、焼く音、調理の香り。それが本当に心地よくその素晴らしい香りに集まったこのキャスト。本当にうれしく感謝とともに現場に入れそう」と感慨を口にする二宮。「とにかく死に物狂いで頑張ります」と意気込んでいる。そんな二宮演じる主役・充と同じ"麒麟の舌"を持つ直太朗役の西島も「俳優という仕事を始めた頃から憧れていた滝田洋二郎監督と御一緒できるという事、非常にうれしく思っています」とコメント。脚本については、「本当に素晴らしい」「時代と人間とが深く描かれています」と太鼓判を押している。

そんな2人が賛辞を送る滝田監督は、「世界史に名を刻むレシピ作りに挑む料理人と、それを受け継ぐ男の物語を、食感・人寰(じんかん)・スケール感をたっぷりと味わっていただける映画にしたい」と明言。「多彩な絶対味覚を持つ、若手・老練の皆さまと共に、撮影現場で予想もしなかったすてきな瞬間に立ち合えることを楽しみにしております」と自らの期待を語る。さらに秋元氏は、原作の田中氏からゲラが届いた際のことを「『初めて書いた小説が幻冬舎から出版されるので、感想を聞かせてください』と電話があった。気が重かったが、一緒に番組を作って来た仲間なので、義理で読み始めた」と回顧。しかし、「数ページで引き込まれた」ようで、「テレビディレクターらしい設定の面白さ、荒唐無稽ではあるが、毎分の視聴率が落ちないストーリーテリング…。読み終えた時に、すぐに映画化したいと思った」と企画背景を明かした。

映画は、7月に国内で撮影スタート。10月にクランクアップを予定している。

(C)2017 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 (C)2014 田中経一/幻冬舎