東京商工リサーチは6月23日、「日系企業のイギリス進出状況」調査について発表した。同社が保有する国内企業データベースと、業務提携するDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート/米国)の世界最大級の海外企業データベースを活用し、日系企業のイギリスへの進出状況を調査したもの。
調査の結果、イギリスには343社の日系企業が進出し759拠点を展開していることがわかった。
多い産業は製造業、サービス業、金融・保険業
現地759拠点の産業別は、製造業が最も多く264拠点(構成比34.8%)、次いでサービス業の165拠点(同21.7%)、金融・保険業の107拠点(同14.1%)だった。
759拠点のうち、最も多かったのは事業関連サービス業の101拠点(構成比13.3%)だった。事業関連サービス業は、ソフト開発を含むプログラミング業や広告代理業が含まれる。これらの業種は、イギリスに所在する日系を含む外資系企業の現地拠点やローカル企業を顧客にしているとみられる。
次いで、動力伝導装置製造業や産業用機械製造業が含まれる一般機械器具製造業55拠点(同7.2%)だった。さらに、卸売業(消耗品)49拠点(同6.5%)、卸売業(耐久消費材)45拠点(5.9%)と続く。構成比率が最も高い業種でも13.3%にとどまっており、日系企業はイギリスに多様な形で進出していることがわかる。
6月23日、イギリスでは欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票が実施される。同社では、「イギリスがEUを離脱した場合、ポンドの下落や域内での貿易に係る関税の優遇措置の適用除外などにより経済面での不利益も考えられる。残留の場合でも、今後も離脱の可能性を残すことになり、大企業を中心にイギリスに置いていたEUを統括する拠点の役割縮小や、他のEU加盟国への機能移転がなされる事態も想定される。離脱、残留のいずれの結果でも、日系企業への影響は避けられないだろう」と分析している。