100円ショップに「リメイクシート」というDIYアイテムがあるのはご存じだろうか? レンガや木目などの模様がプリントされた薄いシートのことで、壁や家具などに切って貼るだけで簡単に部屋の雰囲気を変えることができる。今回はそれを使用して、キッチンの冷蔵庫のリメイクに挑戦してみた。

まだまだ現役の筆者宅の冷蔵庫

人気の柄は"即買い"で

リメイクシートは、"カッティングシート"や"インテリアシート"、"粘着シート"などとも呼ばれている。柄が印刷されている表面を裏返すと、裏にはくり紙が付いており、これをはがすと好きなところに貼り付けられるというわけだ。サイズに合わせて切って貼るだけで、古びた家具も新品のように生まれ変わる、らしい。

セリアのリメイクシート。今回使用したのは「淡い木目調」

ホームセンターなどでは10cmあたり約200円くらいから切り売りしているが、100円ショップではあらかじめ約40cm×約90cmくらいの大きさにカットされたものを販売していることが多い。今回筆者が狙っていた柄は、100円ショップ「Seria(セリア)」の淡い木目調のもの。

しかし、いざ出掛けてみれば、人気の柄なのか売り切れの店舗ばかりだった。4店舗ほどハシゴして、ようやく4枚を購入。柄によってはなかなか入手しづらいものもあるようなので、お目当ての柄を見つけたら"即買い"がいいだろう。

シートを貼るのは20年も昔の冷蔵庫

このシートを使ってリメイクするのは、製造から20年たつ筆者宅の冷蔵庫である。大型冷蔵庫では今やほぼ見かけなくなった、冷凍室が一番上にあるタイプだ。今はスタンダードになっている自動製氷機能も、もちろん付いていない。

冷蔵庫のカラーは濃いめのグレー。引っ越して数年たつが、明るいカラーが基調のキッチンに暗いグレーの冷蔵庫は似合わないなあ、とずっと思っていた。冷蔵庫が置いてあるその部分だけ重たく感じるのである。キッチンと調和する明るい雰囲気の冷蔵庫にしたい。

シートを貼る前の下準備が大事

いよいよ作業開始だ。使用するものは、リメイクシート(今回は4枚使用)のほか、カッターやはさみ、定規、メジャー、マスキングテープ、無水エタノールなど。貼りつけるときに空気をうまく逃がせるよう、スキージーなどもあったほうがいいが、筆者宅にはなかったので、使わなくなったポイントカードを使用することにした。

メジャーやはさみ、カッター、マスキングテープなどを用意

まず、冷蔵庫表面の汚れを落とす。汚れやホコリなどが付いていると、シートの粘着性が悪くなるほか、貼っている途中にシートと冷蔵庫の間に空気が入りやすくなるためだ。無水エタノール7、水道水3の割合で混ぜたアルコール水を冷蔵庫表面にスプレーして拭いていく。アルコールを使っているので、火気にはくれぐれも注意していただきたい。

表面の汚れをきれいに落とす

シールなどが貼ってある場合は、「シールはがし液」などを使ってきれいにはがすことも忘れずに。シールはがし液も100円ショップで購入できる。

ポイントシールを貼った跡なども見逃さずに

貼りの工程は「少しずつ」が鉄則

次はシートの裁断だ。あらかじめ冷蔵庫のドアの寸法をはかっておき、それに合わせてシートを切っていく。シートの裏面には方眼紙のように線がプリントされているので、サイズ通りに切りやすい。

サイズに合わせてカットする

冷蔵庫のボタンなどの出っ張っている部分は、リメイクシートを当ててみてアタリを付け、その部分をカットしておこう。

ボタンなど出っ張っている部分があれば、リメイクシートを当ててアタリをつける

いよいよ貼りの工程に突入。ここですぐに裏面のはくり紙をベロンとめくって貼っていきたいところだが、そこはガマン! リメイクシートは非常に薄く、張りがない素材のため、やみくもに貼ろうとするとシワになってしまうのだ。

まず、磁石などでリメイクシートを冷蔵庫に仮配置しよう。その後、リメイクシートの上部にマスキングテープを貼り、シートの位置を固定していく。

マスキングテープで固定する

固定できたら、リメイクシートのはくり紙を上部のほうから少しずつはがす。慣れないうちは、5mm~1cmずつはがしていくと、失敗が少ないのではないだろうか。ここで一気にはがしてしまうとシワだらけになってしまうので、少しずつ、少しずつ、が鉄則だ。

少しずつ少しずつはがしていく

はがした部分から、スキージーなどで空気を抜きながら、少しずつ貼っていく。今回はスキージーを使用しないカードで代用した。慎重に貼っているつもりでも、どうしても空気は入ってしまうものだ。気づいたら一度貼った部分をはがして、貼り直しをしよう。

手の指とスキージー(今回はカードで代用)で空気を逃がしながら貼る

シワをつぶすと大変なことに

貼りの工程が半分くらいに来たところで、油断が出たのかシートにシワが入ってしまった! 薄いシートのため、シワをつぶせば目立たないのでは? と思って無理やりつぶしてみたが、ただシワが目立っただけだった。やはりシワができたら、貼った部分をはがして貼り直しをした方が無難のようだ。

無理やりシワをつぶすとこうなってしまうので、マネしないように

ちなみに、冷蔵庫の中央部分は面積が広いため、1枚のシートでは足りなかった。2枚目の貼り始めは、1枚目と少し重なるように貼った方が仕上がりがきれいだ。レンガなどの柄は、きちんと2枚の柄が合うように配置を工夫したほうが自然に見える。

1枚目と2枚目のシートは少し重ねて貼る

曲線や凹凸があるところは、ドライヤーの温風を当てながら貼ると貼りやすい。リメイクシートが熱で伸びるためだろうか。ただ、温風を当てすぎるとシートが溶けてしまうので要注意だ。

ドライヤーの温風を当てるとシートが伸びる

順調に進んでいると思われた貼り作業。気を付けて貼っていると思ったのに、仕上がりを見るとところどころに小さな気泡が……。そんなときは針で小さな穴を開け、中の空気を逃がしてあげよう。ふくらんだ部分を指で押さえれば、空気が抜けて目立たなくなる。

針で穴を開けて空気を逃がす

暗いキッチンが明るく

そして、ついに完成! これまで冷蔵庫があった部分はその部分だけ暗く沈んでいたが、明るい木目調になったことで、周囲に溶け込んだ気がする。冷蔵庫がキッチンに占める面積はかなり大きいため、そのカラーが変わることで、雰囲気も全く違ったものになった。

左が貼る前、右が貼った後。印象がずいぶん違うのがわかるだろう

側面にも貼ることを検討したが、冷蔵庫の中には背面・側面から熱を逃がすものがあるという。側面にシートを貼ることで熱の放射をさえぎってしまったら、わが家の古い冷蔵庫に悪影響では? と感じ、今回は断念した。

リメイクシートを貼る工程は、スマートフォンの液晶画面に保護フィルムを貼るときに似ている気がした。表面をきれいに拭き、ホコリなどをあらかじめ取り除いておかなければ、中に空気などが入ってしまうのも同じだ。とはいえ貼るモノが大きいので、あらかじめ貼る位置を固定しておき、空気が入らないように少しずつ貼っていくのがいいだろう。

低価格で簡単に部屋の雰囲気を変えられるリメイクシート。家電や家具が「ちょっとインテリアのカラーと合わないな」と感じたら、一度試してみることをおすすめしたい。