日本国民の大多数が一度は食べたことがあるであろう「パインアメ」。誕生から60年以上経っていることもあり、おそらくほとんどの世代にとっておなじみの商品だろう。そんな慣れ親しんだお菓子がこのほど、食感もサイズも新たに、斬新なコラボ商品として生まれ変わったという。
商品名は「パインバウム」。名前の通り、パインの味と風味を楽しめる黄金色のバウムクーヘンで、「パインアメ」のデザインをまるっとそのまま踏襲したパッケージに、すっぽりとおさまっている愛らしい一品だ。ただし、こちらは大阪限定となっている。
開発したのは、大阪市東淀川区に本社を置く松月堂本舗。生八ッ橋をはじめとする和菓子から、土産品としても人気のチョコレート菓子、ブライダルギフトにいたるまでの様々な菓子を扱う、大正14年(1925)創業の老舗だ。
地元企業と大阪土産の新定番を
それにしても、そんな名店がなぜ「パインアメ」とコラボを? そしてなぜバウムクーヘン? 気になる質問をそのままぶつけてみたところ、「パインバウム」誕生の裏には、「大阪土産の定番を作りたい」との思いがあったことが判明した。
「私たちの会社は長年、大阪土産の開発・製造・卸しに携わってきました。その中で、大阪って食に関していえばなんでもあるけど、"なんでもある"は何もないのと同じでは? と考えるようになり、大阪土産といったらいの一番に思い浮かぶような一品を作れないものかと頭を悩ませていました」。
そう話すのは、松月堂本舗代表の赤松雅幸氏。赤松氏によると、新商品開発に関しては、日ごろから消費者や取引先からも開発してほしいとの声があったというが、なかなかヒット商品を出すのは難しかったという。そんな中、思いついたのが地元企業とのコラボレーション。20年ほど前からブライダルギフトとして取り扱っていたバウムクーヘンと「形が似ていたから」という理由で、パインアメに白羽の矢が立ったのだ。
バウムクーヘンのあるべき姿は"しっとりずっしり"
しかし、完成までの道のりは約1年と長く、試作に試作を重ねた末に、ようやくパインアメの甘酸っぱいおいしさを再現できたという。もちろん、パインのフレッシュな香りとジューシーな味わいもパインアメそのもの。そこにバウムクーヘンの重厚さまで加わっているのだからなんともぜいたく極まりない。
「実は私自身、バウムクーヘンが大好きなんですが、最近街中で見かけるものは安さにこだわりすぎているため、大きさは十分でもスポンジのように軽いものはほとんどで残念な気持ちです。バウムクーヘンはもっと"しっとりずっしり"したものでなくちゃ」(赤松氏)。
もちろん、「パインバウム」もこの理想をしっかりと満たしているため、手ごろな値段でありながらずっしりとした重みが感じられる。「パイナップルピューレとパイナップルソースをふんだんに使って、ゴージャスな味に仕上げました」と赤松さんも自信をのぞかせるが、実際、一流ホテルのティータイムで供されても納得のリッチな味わいなのである。
しかも、常夏を思わすパインの爽やかさを存分に堪能できるため、日に日に日差しが強くなるこれからの時期のおもたせとしてもぴったり。見た目のユニークさ、おいしさともにハイクオリティなので、みんなに喜んでもらえること間違いなしだ。