福井鉄道福武線・えちぜん鉄道三国芦原線を結ぶ「フェニックス田原町ライン」が27日に開業し、福井鉄道「フクラム」・えちぜん鉄道「キーボ」による相互直通運転が開始された。福井駅前にあった福井鉄道の電停も同日、福井駅西口広場に移設された。

「フェニックス田原町ライン」開業に合わせ、えちぜん鉄道「キーボ」もデビュー

「フェニックス田原町ライン」は越前武生~鷲塚針原間(運行距離26.9km)で相互直通運転を実施。日中から夕方にかけて1時間おきに急行を運行するほか、朝の時間帯に越前武生~福大前西福井間の普通列車も2往復設定される。福井市を南北に結ぶ交通軸が形成され、三国芦原線沿線地域から福武線沿線の鯖江市・越前市へ直通することで、利便性向上と地域間交流の促進が期待されている。

相互直通運転開始を前に、三国芦原線田原町~鷲塚針原間の各駅(中角駅は除く)で駅舎・ホームの改修が行われてきた。福武線・三国芦原線の結節点となる田原町駅では、福武線ホーム(1番のりば)と三国芦原線ホーム(3番ホーム)の間に相互直通列車専用の線路・ホーム(2番のりば)を新設。その他の各駅も、えちぜん鉄道の列車が停車する高床車ホームとは別に、両社のLRV(次世代型低床車両)に対応した低床ホームが設置された。

えちぜん鉄道L形「キーボ」は「フェニックス田原町ライン」開業に合わせてデビューした車両で、黄色い車体が特徴の2連接車。開業当日の日中時間帯、「キーボ」は福井鉄道F1000形「フクラム」2編成(F1001・F1002)とともに急行として越前武生~鷲塚針原間を走行した。両社の相互直通運転開始を記念し、この日限定の共通1日フリーきっぷも発売されており、券面に「キーボ」「フクラム」がデザインされていた。

田原町駅では、2番のりばから「フェニックス田原町ライン」、3番のりばからえちぜん鉄道三国芦原線の列車が発車する

三国芦原線を走る福井鉄道「フクラム」。えちぜん鉄道の列車と待ち合わせも

福井鉄道600形602号車。福井駅電停や田原町駅で鉄道ファンらの注目を集めた

福武線内ではその他、新たに投入された「フクラム」第3編成(F1003)や大型車両600形(602)の普通列車、さらにドイツ製イベント用車両「レトラム」も運行されたという。どの車両も鉄道ファンの注目を集め、新型車両やレトロな雰囲気の車両にカメラを向ける撮影者も多かった。福井駅西口広場へ延伸・移設され、ホームも増設された福井駅電停では、真新しい設備を興味深く眺める地元利用者の姿も目立った。

福井鉄道は「フェニックス田原町ライン」開業と福井駅電停の移設に合わせてダイヤ改正を実施。日中の運行間隔が変更され、急行を毎時2本(越前武生~鷲塚針原間1本、越前武生~田原町間1本)、普通を毎時2本(越前武生~田原町間、福井駅電停経由)運行するダイヤとした。「フェニックス田原町ライン」の列車も含め、急行は福井駅電停を経由しないが、隣の市役所前電停にて乗換え可能とのこと。えちぜん鉄道も福井鉄道との相互直通運転開始にともない、三国芦原線の一部列車の時刻が変更されている。