保湿を十分意識しよう

意外かもしれないが、春の肌は冬と同じくらい乾燥しており、カサカサしてハリを失いがち。うるおいが足りずに肌荒れしてしまったところにほこりや花粉などが付着すると、肌のダメージは一層進みやすくなる。

肌の表皮の一番外側にある角層という部分は、外界の刺激などに対して肌を守り、肌のうるおいを保つ大切な役割を果たす。角層が持つ保湿機能やバリアー機能がしっかりと発揮されるためにも、洗顔後は化粧水や乳液などの基本ケアで水分、油分、保湿成分を与え、肌表面をすこやかに保つようにしよう。

また、春先には目や鼻、ほおにムズムズするかゆみを伴うことも。肌がデリケートになり炎症を起こしやすいうえ、ゴシゴシとかいてしまうと、角層が傷ついてしまうからやっかいだ。

「かゆみが出た際は、冷やして沈静させるのがベスト。スキンケア時に普段はコットンを使っていても、肌に違和感があるような場合は、清潔な手のひらを使って肌を軽く押さえるようにしましょう」。

さらに、肌が刺激を受けるように唇も刺激を受ける。唇は他の皮膚とは構造が異なり、角層が非常に薄く皮脂腺もないため、うるおいを保つバリアー機能がとても弱い部分なのだ。顔の肌以上に乾燥の影響を受けやすく荒れやすいので、リップクリームで唇を守りながらうるおいを補給するとよい。

緑黄色野菜でバリアー機能の補強を

食事からスキンケアを行うことも肝要だ。肌のバリアー機能が低下したときに特に注目したいのがβカロテン。体内でビタミンAに変わる栄養素で、不足すると新陳代謝が衰えて肌荒れを起こしやすくなったり、細菌に対する肌の抵抗力が弱まったりしてしまう。にんじんやかぼちゃ、ほうれんそう、トマト、ピーマンなどの緑黄色野菜を積極的に摂取することを心がけよう。

※写真と本文は関係ありません

記事監修: 服部英子(はっとり ひでこ)

東京女子医科大学卒業。皮膚科専門医。日本皮膚科学会、日本レーザー学会、日本臨床皮膚科学会、日本アレルギー学会に所属。大学卒業後に東京女子医科大学病院やJR東京総合病院の皮膚科に勤務した後、2005年より南青山皮膚科 スキンナビクリニックの院長を務める。