カノンの優しさが、ライチに"人間味"を宿していく

――前回取材させていただいたのが、1年半ほど前。『劇場版 零~ゼロ~』(14年公開)で共演した森川葵さんとのツーショットインタビューでした。その時には初主演に向けて意気込む気持ちがあった一方、悔しさもあったとおっしゃっていました。当時と今の自分に違いはありますか。

やっぱり主演は特別でした。今回の作品はたくさんのファンの方々がいて、中でもカノンは期待に応えなければいけない存在だと思っていたので、そういうプレッシャーはありました。演じる責任はどのような役でもあるので、毎回自分ができることはしっかりやらないといけないという気持ちで挑んでいます。それでも……今までで一番きつかったのは、やっぱり『零』(笑)。経験が少ない上での主演は大変でした。

――安里麻里監督から、かなり怒られたらしいですね(笑)?

そうなんです(笑)。でも、その経験があったからこそ、以降の作品でくじけそうな時があっても乗り越えて来られたんだと思います。監督とは再会できていなくて、私が出演した作品の感想もまだ聞いていません。

――出演オファーが楽しみですね。

来ますかね(笑)?

――きっと来るはずです。中条さんといえば、美少女的な役柄以外にも、最近ではホラー系の出演が続いていますね。"なにかにおびえる"演技は、同じ引き出しのような感覚?

作品によってそれぞれ恐怖の状況が違うので、例えば『零』だと暗闇の中でジワジワ来る恐怖、ホラー系だと霊が見えた時の恐怖で、今回は人が目の前で殺されたりすることへの恐怖と悲しさがありました。最初、ライチに追いかけられるところはロボットに「殺されるかもしれない」という恐怖。そんな違いを感じながら、演じました。

――1年半前から現在までの変化といえば、CMもその1つだと思います。ポカリスエット、メリット、NTTドコモなどの出演は反響もあったのでは?

街中で、すごく視線を感じるようになりました(笑)。でも、東京の方はあまり声をかけてこないです。『Seventeen』のモデルをやらせてもらっているので、女の子から声を掛けられることが多いんですけど、最近は電車の中でサラリーマンの方に声を掛けてもらったり(笑)。CM出演を通して、私を知ってくださる方々の年齢層の広がりを感じています。お手紙をいただくこともあって、応援してくださる方々の存在は励みになりますね。

――中条さんを取り巻く環境は1年半前と比べてがらりと変わったと思います。今の状況についていけていますか。

年の近い子たちがどんどんステップアップしているので、互いに刺激し合える環境にいると実感していて。同じ世代、刺激し合える仲間たちが周りにたくさんいるので、もっとがんばりたいです。

――同世代の中でも、特に『Seventeen』専属モデル、出身者の活躍は顕著です。やはり、ライバルのような存在ですか。

ライバル心は「ない」と言ったら嘘になりますね(笑)。先輩方もそうですが、入った時から周りは女優とモデルを両立しています。だから、自然とそういう環境にいさせていただいた感じというか。良い意味でライバルという意識を持ちながら、みんなで上に上がっていく感覚ですかね? 『Seventeen』は部活みたいな雰囲気(笑)。学園モノには必ずと言っていいほど『Seventeen』モデルがいるので、逆にそういう現場で会ったりすると安心感があります。

――以前お会いした時はモデルと女優、それぞれ別物としてがんばっていらっしゃるとのことでしたが、今はいかがですか。

今も変わらずです。全然違うものだし、両方あるから自分の中でバランスが取れている気もしているので、どちらもできていることがありがたいなと思います。

――いちばん素になる時は? 「普通の女の子」になる瞬間というか。

基本的に……ほぼほぼ素なんです(笑)。演技だとカメラ回っている時とか衣装を着た瞬間からはその役に切り替わりますが、基本的に……素です(笑)。まだまだ自分が子どもだなと思うのは、地元に帰ってすべてをさらけ出している時。地元の友だちは仕事のことも聞いてくれますけど、関係性はずっと変わらないんですよね。

――こうして対面した印象も、2年前とあまり変わっていないようで、安心しました。

そうですね。変わってなくてすみません(笑)。

■プロフィール
中条あやみ
1997年2月4日生まれ。大阪府出身。2011年、女性ファッション雑誌『Seventeen』の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン」でグランプリに選ばれ芸能界入り。翌年にはドラマ『黒の女教師』(12年TBS系)で女優デビューを飾った。初主演となる2014年公開の映画『劇場版 零~ゼロ~』で銀幕デビューを飾り、今年は7月2日公開の映画『セトウツミ』でヒロインを務める。

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