育休取得は乗り越えられるリスク

議論の中では、男性議員の育休取得に対するバッシングについて、登壇者から多くの意見が寄せられた。

経営者としての目線でサイボウズの青野氏は、「今回の問題について批判している経営者がいるが、勘のいい経営者は(育休に理解を示す)方針転換をしている。子育て環境を整備することで人を採用しないと、事業を縮小しないといけないって気づいている。これからは頭の切り替えられなかった会社が沈没していくのをみていくことになると思う。だから今育休を取得することは、乗り越えられるリスクであると確信しています」と理解を示した。

NPO法人マタハラネットの小酒部さやか・代表理事は「無言の賛同がたくさんある」と励ました

またNPO法人マタハラネットの小酒部さやか・代表理事は、「マタハラの被害者として顔や名前を出したときもすごいバッシングがあった。しかしそれ以上に応援メールも届いたし、無言の賛同がたくさんある。黙っているけれど心の中で賛同している人がたくさんいると思うので、バッシングをばねにがんばってほしい」と励ました。

同じ衆議院議員である寺田氏は本質的な国会議員の仕事について意見を述べ、「国会議員はそれぞれが抱えた問題意識を解決することが求められていると思う。宮崎さんが育休をとって、育児のつらさや当事者意識を持って、制度を考えていこうと進めていくのが本質的な議員の役割だ」と訴えた。

育休取得は働き方改革の中の1つ

最終的に、育休取得の議論は「子育てをしやすい働き方を考えるべき」という方向へと移っていった。少子化ジャーナリストの白河桃子氏は「日本は進撃の巨人の世界のように、3つの壁に囲まれている。性別役割分業、長時間労働、仕事こそが一番尊いという3つがあって、その中で窒息しそうになっている」と指摘。

少子化ジャーナリストの白河桃子氏も、今の日本社会における働き方に言及

成澤文京区長は「東京都の認証保育所は13時間以上保育。そういう子育てを日本は引き続き求めていくのか。延長保育や早朝保育を使わなければ、結果的に可処分所得も増える。子育てにとって幸せな社会になるように、働き方の見直しが必要だ」と訴えた。

これらの議論を受けて、駒崎氏は「男性の育休は、働き方改革のコンテクストの中の1つ。多様な働き方ができる社会を考える上で育休がある。時代時代に合わせた働き方をデザインしていくという発想がすごく必要だし、あるべき働き方は何なのかっていう議論につなげていきたい」と話をまとめた。

「どんな仕事をしなければいけないのかっていうことはしっかり考えてやっていきたい」と語った宮崎議員

最後に「育休を取得すると宣言したという中で、知らないこともいっぱいあった。多くの方からいろんな意見をもらい、重たい議席を預かっているということを再確認しつつ、どんな仕事をしなければいけないのかっていうことはしっかり考えてやっていきたい。皆さんと共に日本の未来につながることをやりたい」と話した宮崎議員。今回の問題が1つの騒動として終わるのではなく、子育てしやすい環境づくりにつながる機会になることを切に願う。