「日本食はあまり好きじゃないの。だってスパイシーじゃないから」と言うのは、とあるスリランカ人の言葉。もちろん日本食が大好きなスリランカ人もいるが、カレーを食べて育ってきた彼らにとって、「おいしいもの=スパイシー」という情報がDNAに刻み込まれているのかもしれない。そんなスリランカのマクドナルドには、やっぱりスパイシーなオリジナルメニューがあるのだ。
スリランカには1店だけ?
地元の人に聞いたところ、スリランカにマクドナルドが進出したのは17,8年前とのこと。ただ、実際は他にもあるのかもしれないが、筆者がスリランカでマクドナルドを目にしたのは国内最大都市であるコロンボのゴール・ロードに面した1店だけ。KFCはキャンディなどの大都市でも見かけることがあったが、それでもグローバルカンパニーのハンバーガーショップはそれほど多くない。地元の人にというよりも、観光等で訪れた外国人を意識した展開なのだろう。
コロンボで見かけたマクドナルドでは、おなじみのドナルドが入口で待っている。毎日が夏のような熱気のスリランカなので、きっとドナルドも立っているのが辛いのだろう。ベンチに座ってお待ちかねだ。クーラーがきいた店内は、広々とした空間設定も相まって快適そのもの。店の中心にはキッズスペースも設けられていた。
朝マックでシーニサンボルを
訪れたのは平日の10時頃。つまり、朝マックの時間だ。ハンバーガーは「エッグバーガー」「ソーセージアンドエッグバーガー」「オムレツバーガー」と、メニュー名からも大体中身が想像できそうなものが並んでいた。その中でひとつ、スリランカらしい香りが漂っていたのが「エッグアンドシーニサンボルバーガー」である。
サンボルはココナッツや野菜等を和えたもので、ライスやカレーの他にいろいろなものをミックスして食べるスリランカ料理には欠かせない一品。その中でもシーニサンボルは、シンハラ語で砂糖を意味する「シーニ」の通り、タマネギや砂糖の甘さが生きたサンボルであるが、基本的に例外なくスパイシーに仕上げられている。
そんなエッグアンドシーニサンボルバーガーは、長方形のロングエッグの中にシーニサンボルとチーズを挟み、さらにそれをバンズで挟んだもの。単品は200ルピー(約160円)、ハッシュドポテトとコーヒまたはティーのセットは350ルピー(約290円)となっている。日本と比べると価格はほぼ同額のように思われるが、スリランカのローカルショップであれば、ホットドッグのような調理パンも100ルピー(約80円)以下で食べられるので、ちょっと割高にはなるのかもしれない。
食べた後も残るピリッとした辛さ
エッグアンドシーニサンボルバーガーを食べてみると、エッグとチーズで随分マイルド。スリランカでは冒頭の通り、スパイシーさが魅力とも言える食文化であり、朝昼晩全てカレーということも少なくない。それでも、インドカレーと比べるとココナッツが効いている分ややマイルドではあるが、日本人にとっては十分辛い。
そのため、エッグアンドシーニサンボルバーガーを口にした瞬間は、「なるほど、外国人のためにマイルドな朝ご飯を用意したんだろうな」と思った。しかし、シーニサンボルゾーンになると、徐々に舌がピリピリ。元々甘さが特長のサンボルなのでびっくりするほどの辛さではないが、食べた後もまだピリッとした辛みが残るあたり、スリランカスタイルは健在であることを実感した。
朝マックにはなかったが、通常メニューにはチキンがのったカレー&ライス(250ルピー=約210円)もあり、デリバリーにも対応しているようだ。また、ハンバーガーやライスのほか、サラダセット(グリーンサラダは450ルピー=約370円、チキンサラダは550ルピー=約450円)もある。もしスパイシーな食事にマイルドさが欲しくなったら、スリランカスタイルのマクドナルドも楽しんでみるといいだろう。
※記事中の情報は2016年1月取材時のもの。1ルピー=0.82円で計上