年代を問わず、誰もが知っている日本のヒーロー「ウルトラマン」。そんなウルトラヒーローに見守られ続けている商店街が世田谷区にある。その名も「ウルトラマン商店街」だ。
平和な街のウルトラマン
「ウルトラマン商店街」があるのは小田急線「祖師ケ谷大蔵駅」。もちろん駅で流れるメロディーはウルトラマンのテーマソング。期待を裏切らないところがうれしいところだ。
もともとは「祖師谷商店街」「祖師谷みなみ商店街」「昇進会商店街」という3つの商店街だったものが2005年に合体。ひとつの巨大な商店街が誕生した。なぜウルトラマンかというと、この祖師ケ谷大蔵がウルトラマン発祥の地であるため。生みの親である円谷プロダクションが商店街活性化のために無償でキャラクターの使用を認めたのだそう。
通常、ウルトラマンが現れるところには怪獣がいるもの。しかしこの商店街は緑あり、ベンチありで、普通以上にのんびりとしている。散策する人にとってはくつろげるが、駅前で仁王立ちをしているウルトラマン像は内心あくびをしているに違いない。
とにかくウルトラマンな超ロング商店街
しかもこの商店街はとにかく長い。南北に2.3km、さらに東西にも400mほど伸びている。そのところどころにはウルトラマンにまつわるアイテムがあり、どこを見てもウルトラマン関係のものがあふれている。特に、通りにひたすら並ぶウルトラマンの頭がモチーフの街灯に注目したい。
実はこれらの街灯、なんと一本一本にカラータイマー風の窓が埋め込まれている。しかもただの飾りではなく、その中をのぞいて見ることができるのだ。中には歴代ウルトラヒーローや怪獣などの写真が収められている。
そして、やはり見逃せないのが3種類の空飛ぶウルトラマン。それぞれ、北・西・南と商店街の一番端にあるため、全て見て歩くにはそれなりの覚悟が必要だ。ちなみに、たまたま出会った地元の人は、その内ひとつしか見たことがないという。しかし、どうしても見たかった筆者は根性でめぐってみた。
まずはひとつ目、北の「ウルトラマンアーチ」へ向かう。どうやらこのウルトラマン商店街は"商店街"の許容範囲がかなり広いらしい。北のアーチまで店舗が続いているのではなく、ところどころ住宅街だったり、畑があったりするのである。のんびりと散歩に来ているのではないかと錯覚するくらいだ。
続いて同じ道を戻り、西の「ゾフィーアーチ」へ。こちらも同様に空を飛ぶウルトラヒーロー。筆者は見つけて胸躍ったものの、地元の人には日常の風景のためか、特に気にすることなくゾフィーアーチを通過していく。
そして最後の南側、「ウルトラマンジャックアーチ」。これは別名「帰ってきたウルトラマン」なのだそう。
食べ歩き&ウルトラマンなお土産も
商店街ときたら、やはり期待したいのはグルメ。ここでは食べ歩きのお店がところ狭しと並んでいるのではないものの、気になるお店は意外と多い。そのひとつが「フロレスタ」の自然派ドーナツ。北海道産小麦粉使用、保存料不使用の、身体に優しいドーナツとのこと。小ぶりなサイズでおやつにぴったり。
食べ歩きにもお土産にもちょうどいいのが「エッセン」の自家製ハムやソーセージ。50gから販売しているため、いろんな種類を買って食べてみてもいいだろう。
そして、やはりお土産にするならウルトラマングッズがオススメ。「ウルトラマン金太郎飴」というものをなぜか八百屋の「やおきゅう」で発見した。
このほか、焼き鳥やたい焼き、マカロンのお店などもある。ただしランチとディナーの間の時間帯は閉まっている場合もあるので注意しよう。
一回りしようとすると結構ロングな散歩コースとなるウルトラマン商店街。しかも、まだまだ隠れウルトラマンはあるようだ。平日であれば「まちづくりセンター」で「ウルトラ通信」なるマップ付きパンフレットを無料で手に入れられる。ウルトラマン三昧の一日をここで過ごしてみてはいかがだろうか。
※記事中の情報・価格は2015年11月取材時のもの。価格はエッセン以外は税込
筆者プロフィール: 木口 マリ
執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。