山口県のご当地グルメといえば、下関のフグをイメージする人が多いのではないだろうか。もちろんフグは旨い。しかし、山口県には全国に知られていない品々がまだまだ眠っている。今回は、山口県東京売り込みセンター主催のプレスツアーで出会ったご当地グルメたちを紹介しよう。

山口県はご当地グルメの宝庫! (写真は、左から「大平」と「岩国寿司)」

ウェディングケーキ代わりにもなる「岩国寿司」

まずは、山口県東部・岩国市周辺で親しまれている伝統料理「岩国寿司」と「大平(おおひら)」を紹介。「岩国寿司」はいわゆる"押し寿司"の一種で、一度に大量に作られるのが特徴。今回筆者がいただいた「岩国寿司」は、5升(50合)もの米が入る大きな型枠に酢飯と具材を5層重ねて作られたもの。この型枠で出来上がる岩国寿司は、なんと150人前にもなるそうだ。

酢飯と具材を何層も重ねた「岩国寿司」

巨大な型枠で一気に作る

巨大な型枠に詰められた大量の寿司を押すにあたり、腕の力だけでは不十分。そこで、型枠の蓋の上から職人が乗って足で踏みながら作る。同市の結婚披露宴では、ウェディングケーキ入刀の代わりに夫婦で「岩国寿司」を踏むこともあるそうだ。具材はシイタケ、アナゴ、サニーレタス、レンコンなどで、アナゴの旨味と野菜類のさわやかな風味がうれしい。酢飯がぎゅっと詰まった「岩国寿司」は、見た目の大きさ以上にお腹いっぱいになれるのも特徴だ。

見た目もちらし寿司のように華やかなものが多いとか

「大平」でほっと一息

寿司を食べると汁物が欲しくなる。「岩国寿司」と合わせて、同じく岩国名物の「大平」も楽しみたい。「大平」は、鶏肉のだしでサトイモやコンニャク、ニンジンなどを煮込んだ料理である。その名前は、この料理を入れる巨大な塗り物の容器に由来する。大きく平たい器から取り分けて提供されるので、「大平」というわけだ。

「大平」は汁気の多い煮込み料理

「岩国寿司」とともに、祝い事の席で出されることが多いという「大平」。鶏だしの素朴な旨味と豊富な具材の滋味を味わえ、ほっとする暖かな一品となっている。

大きな器から一人分を取り分けていく