湖や山脈、牧場などに囲まれたニュージーランドの自動車道を走っていた時、「ロードバイクで走れたらさぞかし気持ちいいだろうな」と思っていたのだが、実際、街中にはマウンテンバイクをレンタルしているショップをよく見かける。自転車で走る楽しみは山の中にもあるようだ。そこで今回、ニュージーランド政府観光局主催のプレスツアーを通じて、ニュージーランドの南島・クィーンズタウンでトレイルサイクリング、そして、クィーンズタウン発祥のあの絶叫アクティビティを"疑似体験"してみた。
ワイナリー巡りも可能
クィーンズタウンは南島の観光都市のひとつで、壮大な大自然を生かしたアクティビティが楽しめるところ。クィーンズタウンの中心地からそのままマウンテンバイクで走りだすことも可能だが、シャトルバス&バイクハイヤーのサービスを利用してバスでコースまで行き、いいとこだけ走って満足したらまたバスに乗って帰ってくる、というサイクリングもできる。
今回はバイクツアーを実施している「アラウンド・ザ・ベイスン・バイクツアーズ」を利用。クィーンズタウンからクルマで約15分のところにあるアロータウンでバスを降り、ガイドをしてもらいながら約1時間マウンテンバイクで走る、ワンウェイのトレイルサイクリングを決行した。アロータウンの周辺にはトレイルコースがごく自然なかたちで整備されており、コースの周辺にはワイナリーやチーズ工房などもある。そのため、自分でコースをアレンジしながらサイクリングを楽しむことも可能だ。
今回はプレスツアー用にカスタマイズされたプランで実施したが、同社では「アローリバー半日ツアー」(バイクのレンタルと移動費、ワインテイスティングの料理付きでひとり139NZドル=約1万1,150円)などもあり、ガイドを付ける場合はプラス125NZドル(約1万20円)となる。なお、ワインテイスティング後のサイクリングは常識的な行動をとることが大前提ではあるが、通常の交通法の範囲内であれば法律違反には当たらない。
マウンテンバイクとともにヘルメットもレンタルしてくれるので、基本的に手ぶらでもOK。ただし、ニュージーランドは日本よりも紫外線が強く、トレイルコースはジープロードを走るので、UVカット仕様のアイウエアは用意しておきたい。加えて、グローブがあればなおいいだろう。
山を越え橋を越え
自転車のフィッテング(サドルの高さ調整など)とマウンテンバイクの簡単な操作方法を教えてもらったら、いよいよサイクリングスタート。今回のコースは、アローリバーのそばを走りながらカワラウリバーに合流し、その先に続くカワラウブリッジを目指すというもの。ほぼ全コースがジープロードで多少のアップダウンはあるものの、スポーツバイク初心者でも気軽に楽しめるコースとなっていた。
筆者は普段、東京都内の渋滞した自動車道をロードバイクで走っているのだが、その感覚とは全く違うマウンテンバイクのクッション性は新鮮で、聞こえてくるのは鳥のさえずりに川のせせらぎだけという環境も、この地だからこそ味わえるものだと思った。道中のアップダウンは、ギアを変えてペダルを踏みしめていくという純粋な"走る楽しさ"をもたらしてくれる。
道中ではカワラウブリッジ以外にも、いくつかの橋を越えていくことになる。その橋をよく見てみると、"サザンディスカバリーズ"ブリッジのように企業の名前が入っていることに気が付く。それは観光資源としてトレイルコースを作る際、橋の建設にスポンサーを募ったためとのこと。橋の建設には1社だけでなく複数の会社がサポートしているようで、町をあげて盛り上げようとした人々の情熱を感じる。
橋は造詣も美しく結構高さもあり、橋の上から見下ろすとちょっと怖いものがある。特にエドガーブリッジは長くて細い橋なので、同時に渡れるのは最大20人までと注意書きもされている。山に吹く風の吹き抜け道になっているため、自転車に乗っていても橋が揺れているのが分かり、絶景とともにスリリングはひとときも楽しめるはず。