働く女性たちに、キラキラしただけではないリアルなエピソードを聞いていくこのシリーズ。今回は、女性が働きやすいと就職活動でも人気の金融機関で実際に働いたGさん(30歳)が登場です。時短勤務や産休もあり、昇進もできる。一見、女性にとってうれしい条件がそろっていても、その内実はどうなっているのでしょうか。
後輩から「八方美人ですよね」
――Gさんの会社は、女性に人気の企業だったそうですね
そうなんです。金融機関なのでそもそも女性が大量採用されることもありますが、金融機関への就職を目指す女子大生の多くがエントリーシートを出すような人気の企業でした。人からうらやましがられましたし、親や親戚からの評判も良かったです。
――入社後は、実際に働きやすかったですか?
福利厚生など環境面ではとても恵まれていると感じていました。業務内容的には、営業に出る人、本部などの裏方に回る人と両方いました。でも、正社員はどこに行っても激務なので、入社後数年はできれば辞めたいと思っている同期や後輩が多かった印象です。皆頑張り屋ではあるので、頑張りたい気持ちはあるんです。でも、人のお金を扱う仕事ですし、小さなミスが法律違反になってしまうこともあって常に緊張感が漂っていました。それに仕事の内容もけっこう複雑なので、やりたいという気持ちだけではやれないことも多くて、ふがいなさに泣いてしまう人なんかもいました。
――Gさんは、女性の多い部署だったそうでしたが、その中で大変だったことはありますか?
女性に嫌われると怖いし仕事を進めるうえでも面倒だと思っていたので、先輩から後輩、契約スタッフの方にまで顔色を伺いながら仕事をしていたので疲れました。波風立てたくないから誰にでも笑顔で対応するように心がけていましたが、結局後輩に直接「八方美人ですよね」と嫌味を言われましたね……。
私は管理・企画系の業務を行う部署にいました。もともと営業現場で後方の事務処理を仕切っていた人や、営業でお客さんから相談を受ける仕事をしていた人などがいて、それぞれ仕事ができて、その実績が認められて異動してくることが多いんですが、向き不向きがあって。ほかの部署で仕事ができたからといって、新しいことを考えることに向いてるわけでもなかったり……。それで、自信を無くして休みがちになってしまう人もいました。 工夫された人事評価や何回もある面接など、人事面に関するサポート体制はしっかりしていたんです。でも、今でこそどこの金融機関も男性社員と女性社員が同じ扱いであることが多いですが、何年か前までは女性社員は一般職で採用されてきた人が大方で、やはりそういう人の中にはそもそも出世なんかしなくていいと思っている人もいるし、本部に行きたい管理職になりたいと意欲的な人でも能力的にまだ足りない人も多くて。さらに結婚や育児などの事情もあり、女性社員を男性社員と同じように育てられないのかなと思っていました。
――会社も女性の扱いに困っているという感じですか
そうですね。会社で大きな組織変更があったときに、制度上の問題で一挙に多くの女性が役職につくということがあったんですね。でも、その時に役職に就いた人がごっそりどこにいるかわからない状態になったり。
――それは辞めたってことですか?
辞めた人もいるのかもしれませんが、ひっそりと表舞台から地味な仕事に変わっていたりとか。あと、やっぱり女性は、細かくて難しい仕事だけど、実績の見えにくく評価されにくい、はっきり言ったら儲からない部署を任されることが多いですね。
――それは、会社の意向ですか?
会社の意向も少しはあったと思いますね。その人の能力の問題が一番だとは思うのですが、たとえば事務専門部署に30・40代の男性が配属されることはほとんどないですし。私の部署も、そういう儲からない部署だったんですが、以前は男性が半分くらいいたのに、だんだん男性が減っていって、男性管理職が一人になったこともありました。