南海電気鉄道は2日、南海線の新型車両8300系の撮影会を実施した。7000系・7100系を置き換える車両として製作され、今秋から営業運転を開始する。8000系の基本設計を踏襲しつつ、外観・内装がリニューアルされており、最新機器も採用された。
新型車両8300系は近畿車輛が製作を担当。計20両(4両編成5編成)を投入する予定で、撮影会では第1編成(難波方から8301・8601・8651・8401)が公開された。車体はステンレス製(前頭部は鋼製)で、前面は8000系よりさらに丸みを帯びた外観となり、上部から下部にかけて一体感のあるデザインに。前照灯や車内照明など、すべての灯具にLEDを採用した。
車内の一般座席は質感の異なる2種類のクッション材を組み合わせ、従来より大きなドット柄で、明るくあたたかみのあるデザインに。袖仕切りもシートに合わせた色調となっている。優先座席は一般座席と区別するため、座席表地に青色、吊り手に黄色を採用。車いすスペースは各車両に1カ所設置される。乗降口上部の車内案内表示器は液晶ディスプレイ式となり、4カ国語による情報案内が行われる。
運転台には運転士用の列車モニタ表示装置も設置。主電動機は狭軌用として国内初の本格採用となる「全閉内扇式かご型誘導電動機」で、車内外への騒音低減が図られる。制御器はIGBT素子を使用した速度センサレスベクトル制御のVVVFインバータ制御装置。パンタグラフはシングルアーム式で、難波方・和歌山市方の各先頭車に1台ずつ搭載される。
8300系の定員は、先頭車が1両あたり141名(座席定員47名・立席定員94名)、中間車が1両あたり153名(座席定員55名・立席定員98名)。南海線(南海本線・空港線・和歌山港線)で今秋デビュー予定だが、具体的な営業運転開始日は現時点で未発表とされた。
なお、8300系の投入により、置換え対象とされる7000系が今秋をもって運行を終える予定。現在運行中の「懐かしの緑色」の特急「サザン」(旧塗装を復刻した10000系・7000系)において、9月30日まで7000系に運行終了の記念ヘッドマークを掲出するとのこと。