世界一のダンスチームを決める「JAPAN DANCE DELIGHT」など、数々のコンテストで優勝し、ユニクロのCMやソフトバンクのiPhone発売イベントで個性的なアニメーション(ロボット)ダンスを披露する黄帝心仙人(こうていせんにん)さん。ももいろクローバーZの『ももいろクリスマス2014』のダンスプロデュースや、Hey! Say! JUMPの『ウィークエンダー』の振付を手がけるなど、活躍の幅を広げている。世界的なダンスアーティストになるなんて、子どもの頃からダンス一色の生活をしていたのだろう、と思いきや、ダンスにハマったのは"カン違い"がきっかけらしい……?
黄帝心仙人(こうていせんにん) |
才能の見つけ方
――ダンスとの出会いは偶然だったとか?
そうなんですよ。僕は高校まではプロサッカー選手を目指していたんですが、ケガをしてサッカーを続けられなくなったんです。大学に入ってから、知人に「ダンスイベントがあるから、出てみないか」と誘われて、そこから本格的に踊り始めました。
――そこからいきなりダンスに目覚めたんですか?
いやいや(笑)。それから1年くらいたったときに、僕がすごいダンサーだと思っていた人と同じイベントに出たんです。その録画を見返してみたら、「あれ? 俺の方がうまくない? いやー俺、プロになっちゃうな~」と思いまして。翌日大学に電話をして「辞めます」と。とんだカン違いヤローでしたね(笑)。
――それまでダンスの経験は?
大学に入るまで、テレビでダンスの番組をやっていたら見るくらいで、本格的に習ったり踊ったりはしていませんでした。あると言えば、小学生の頃に、「マイケル・ジャクソンのマネをしているコロッケさんのマネ」をして、友達からすごいねとほめられたくらい。でも、「自分に向いているもの」を見つけるって、結局そういうことだと思うんですよね。
――他人にほめられるということですか?
そうです。誰でも、普段の生活の中で「気が利く」とか「おしゃれだね」とか、ほめられることってありますよね。それが、自分では大好きな部分ではなくても、少なくとも「他人より長けている能力」のカケラなんです。そこに自分でスポットライトを当てて注目してみるのが、成功への一番の近道です。
――他人の言葉や目を使って自分の才能を見つけるって、斬新ですね
「努力すれば成果が出る」とか言いますが、結局は自分が向いていることや好きなことでない限り、結果は出ないんですよ。だって、「これが好きだ、いけそうだ」と思うことなら、面白いし、時間をかけられるじゃないですか。
現在、全国9都市で募集もしている僕のプロ養成ダンススクールがあるのですが(「黄帝心仙人アカデミー」http://kamigami.tokyo/sennin/)、ここで指導をしているときも、気持ちが乗っている人とそうでない人とでは、成果が10倍、20倍違いますから。 そうした生徒のなかに、「24時間テレビ」(日本テレビ系全国ネット)のスーパー人気コーナー「高校生ダンス甲子園」での優勝や、アメリカで最も権威あるダンスコンテスト「VIBE DANCE COMPETITION」でのアジア人初の準優勝、ニューヨークのアポロ・シアターで行われた「アマチュア・ナイト・スーパー・トップ・ドッグ」優勝を手にした人が出てきているのです。
確実に成果を出すには
――「アーティストは夢に向かってひた走る」みたいなイメージがありましたが、意外に計画的なんですね
いや、計画性なんて全然ないですよ。思い込みで大学を辞めちゃうくらいですから(笑)。でも、夢を叶えるためには、ただ行動するのではなくて「考える」+「行動する」で「考動する」というのを習慣にしています。
――「考動する」って何ですか?
ある目標があったとき、それを達成するための方法を30個考えるんです。30個出し切ったら、それを全部やってみるんですね。大事なのは、思いついたそばから行動に移すのではなく、「とにかく30個、限界まで考え抜いてから動く」こと。この方法は、ダンススクールで生徒の発想力を鍛えるトレーニングとしても取り入れています。
――なぜ30個なんですか?
実は僕、20代半ばで信用していた人に株式投資に誘われ、生活費を稼ぐためだったのですが、結局大きな借金を抱えまして、電気ガス水道を止められた家に、3週間ほど引きこもったことがあるんです。そのとき読んだ本に書いてあったのが、「まずは30個考える」。実際に30個書き出して、かたっぱしからやってみたら、収入が1~2か月後には4~5倍に増えて、借金を返せたんです。それ以来、何かあるたびに30個考えるのが習慣になっていて、最近ではアイディアをevernoteにどんどん書き足していっています。実際、30個やってみて結果が出ないことってほぼないですよ。