自分を印象づけるための戦術

――それにしても、1~2カ月で収入が約5倍って、すごいですね! どうしたらそんなことが実現できるんですか?

30個の中のひとつが「人に会う」だったんですね。幸い、いろんなところでパフォーマンスさせてもらっていたので、人脈はかなり広かったんです。いろんな方とお話しする中で、「自分ならこうするな」とか、自分ではまったく思いつかない視点からアドバイスいただいたりして、ものすごくいい勉強になりました。

――例えば、どんなアドバイスを?

名刺を作る、とかですね。でも、せっかく作るなら普通の名刺では面白くないので、2つ折の用紙に写真を入れたり、仕事の情報を入れたり、あとはパッと見て「これ何ですか?」と聞きたくなるようなネタを書き込んだり。3Dの名刺を作ったこともあります。そうやって興味をもってもらえれば、「今度、友達の誕生日パーティーがあるんだけど、パフォーマンスしてもらえる?」みたいに仕事につながるんです。

――インパクト勝負ですね!

相談や頼み事をしたいときは、まず近くにいる人に「ちょっと聞いてみよう」と思うじゃないですか。それなら、そんなときに思い出してもらえる存在になろうと、考えついた方法のひとつが、電話帳。当時はガラケーで、赤外線通信でアドレス交換をする時代だったので、自分の名前の「黄帝心仙人」のふりがなを「あ」と登録したんです。そうすると、ほかの人の電話帳のトップにはいつも、「黄帝心仙人」が出てくるという(笑)。

――まるでSEO対策ですね。他にはどんなテクニックを?

当時、クラブによく行っていたのですが、毎回違う格好をしていると覚えてもらえないので、サングラスとハットを定番のスタイルにしました。1日のうちでサングラスをかけている時間は、今ではタモリさんより長いと思います(笑)。

あのステージの裏側は?

――人とつながることが、仕事につながるんですね

最近では、1つの仕事を5倍、10倍にできるようになりました。例えば、「この予算でパフォーマンスを」という依頼でも、打ち合わせのときに「ただパフォーマンスするだけじゃなくて、映像作品も作っちゃいましょう」とか、どんどん提案するんです。僕はYouTubeで再生回数1000万回オーバーという経験を何度もしているので、けっこう興味をもってもらえます。それが採用されれば、クライアントも全部任せられるのでラクだし、僕にとってもいただける予算が増えることにつながりますよね。

――そうやって大きなお仕事を作っていくんですね

いろいろな経験をさせていただくうちに、最初から規模の大きな仕事に抜擢されることも増えました。ももいろクローバーZの「ももいろクリスマス2014」なんて、総工費数億円。ダンスのステージでは到底ありえないのスケールですから、あのときはそこに乗っかって、普段のステージではできないパフォーマンスを実現させていただいた、という感じです。

――『ウィークエンダー』の振付も大人気です

Hey! Say! JUMPのライブでもお客さんの反応がよくて、みんな踊っていると聞きますし、見た人がYouTubeにダンス映像を投稿したり、タレントさんがテレビ番組で踊ったりと、すごく広まっていてうれしいです。あの振付はもともと、「みんながマネしたくなる動き」を意識して作ったんです。それにしても、Hey! Say! JUMPのメンバーは、振りを覚えるのがメチャクチャ速くて驚きました。なおかつ、みんな自分がかっこよく見える角度を知っていて、すぐに自分のものにしてしまうから、オリジナルとはちょっと違っていてもすごくサマになるんです。

――ちなみに、一般の人が踊りをかっこよく見せるコツってありますか?

動くことよりも「止まる」のを意識するといいですよ。例えば、キメのポースは、はっきり止まって見せる。人間はずっと動き続けているので、きちんと止まると、動きが際立って見えるんです。僕のダンスも「止まる」精度の高さがポイントです。

――なるほど! いろんな意味で、勉強になりました。ありがとうございました!

『究極軸 好きな「何か」を磨いて成功する9つの習慣』
出演・振付したユニクロのCM『UNIQLOCK』で世界3大広告賞制覇。グラミー賞歌手ミッシー・エリオットのMVに特別出演。『ゴット・タレント』アジア版で初のゴールデンブザーを獲得など、世界的ダンスアーティスト黄帝心仙人さんが、人生を振り返って見えてきた、愚直だけれど確実な「成功法則から編み出した自分を変える9つの習慣」を惜しみなく披露。決してブレない『究極軸』の作り方から、絶対にサングラスを外さない理由までを語り尽くす。