最近、皆さんの周囲で「趣味はサバイバルゲームです」と言う人を見かけないだろうか。サバイバルゲーム(サバゲー)は特別な専門知識も必要なく、老若男女が楽しめる点が特徴だ。ただ、興味を持っていても「いきなり一人で行くのはちょっと…」「ルールを知らないと楽しめないのでは? 」などと、二の足を踏んでしまう人も少なくないだろう。

サバイバルゲーム(サバゲー)未体験の9人が、初めて戦場へと旅立つ!!

そこで今回、サバゲー体験1回ながらもその魅力に取り付かれた筆者が、そんな「最初の一歩」を踏み出せないサバゲー未経験の友人9人を引き連れ、東京都内にあるサバイバルゲームフィールドを訪問。サバゲーを初体験した9人のリアルな声をお届けしよう。

秋葉原にあるASOBIBAへGO!

「ASOBIBA 秋葉原フィールド」はJR秋葉原駅から徒歩5分ほどで、アクセスも抜群だ

今回お邪魔したのは、サバイバルスポーツフィールド事業を展開する企業・ASOBIBAが運営する東京は秋葉原にある「ASOBIBA 秋葉原フィールド」だ。

同社は秋葉原をはじめ、お台場や新木場、横浜、名古屋など全国に店舗を構えている。人気ゲーム「バイオハザード」とコラボレーションしたイベントも行うなどして、新たなサバゲーファンを創出している。

同店に到着したらまずは着替えからだが、実はこの着替えがとても重要。使用するのはBB弾とはいえ、当たったらかなり痛い。失明の危険もあるため、マスクの着用は必須。さらに肌の露出を控えるため、長袖の上下や帽子を着用することが好ましい。

意気揚々と着替えるサバゲー未体験メンバー

「銃を含め、道具一式が全くない!! 」というサバゲー素人集団だが、ASOBIBAはレンタル品が充実しているから一安心。必要な道具一式がそろう「フルレンタルセット」(平日2,500円/土日3,500円(共に税込)」の貸し出しもしているので、会社帰りにそのまま遊びに行くことも可能なのだ。

店内で販売されているさまざまなグッズ

初心者向けのレンタル装備も充実しているぞ

着替えが完了したら、スタッフの方からゲームをするうえで大切なレギュレーション(ルール)の説明がなされた。サバイバルゲームには複数のゲームの種類があるが、相手に弾を当てる「ヒット」が重要なのはどのゲームでも変わらない。

一つひとつのアイテムを見ているだけでワクワクしてくる

初めて参加した人でもわかりやすいよう、時折笑いのエッセンスを混ぜながらルール説明をしてもらえ、未経験者たちも楽しんで聞いていた。

スタッフの方が丁寧にルール説明をしてくれた

ちなみに

■相手を撃つ際は「ブラインドショット」を禁じる。物陰から腕などの体の一部を出してやみくもに撃つのではなく、身を乗り出して相手を目視してから撃つ

■弾を当てられた際は、「ヒット」と大きく声を出して自ら申告し、右手をあげた状態で「ヒット通ります」と声に出しながら速やかにフィールドから出る

■自分の持っている銃や帽子のつばなどもヒットの対象となる

■ヒットされたにも関わらずゲームを続ける「ゾンビ行為」やゲーム中の相手への暴言は厳禁

これらがゲームをするうえで大事なルールだ。

銃の撃ち方についてレクチャーしてくれたASOBIBAの渡邉徹シニアマネージャー

初心者軍団が戦士に見えてきた?

レギュレーション説明が終わると、今度は撃ち方の演習が始まった。今回、筆者を含めド素人の集団10人を相手に懇切丁寧にレクチャーしてくれたのは、同社の渡邉徹シニアマネージャーだ。

「サバイバルゲームは他のスポーツと違い、練習をすることなくいきなり実戦となります」という渡邉さんの言葉に、皆一様に表情が引き締まる。マガジンへの弾の込め方や銃の持ち方、照準の合わせ方、敵に見つかりにくい撃ち方……。レクチャーが進むうちに、なんとなく素人集団が"戦士"に見えてきた。

マガジンの使い方などについて説明を受ける

射撃練習にチャレンジ

障害物を使い、隠れながら撃つ方法を教える渡邉シニアマネージャー

いざ実戦も、筆者はあっさり戦死

さて、いよいよ実戦だ。今回行ったのは、一定時間内に敵陣地にあるフラッグ(旗)を取れば勝ちとなる「フラッグ戦」だ。5対5に別れ、各チームに"助っ人"として経験者が5人ほど加わってくれ、約10人ずつのチームが2つできた。さぁ、ゲームスタートだ。

筆者はおよそ3カ月前に一度だけサバゲーを体験したことがあるので、そのときの感覚を取り戻そうと"戦場"へ。だが、開始から2分ほど過ぎたところで、あえなく戦死。やはり現実は厳しい…。

サバゲー初参加メンバーは、最初はおっかなびっくりだったが徐々にゲームに慣れてきた

「セフティゾーン」(ゲームをしない場所)に戻り、ゲーム中の他のプレーヤーたちの動きぶりをモニターでチェック。経験者がどのような動き方をしているのか、ひと目でわかるので非常に勉強になる。意外と大胆に体を障害物から出して撃っているんだな…。

モニターでフィールド内のプレーヤーたちの動きをチェックできる。上級者がどのようにプレーしているかを見ると、生き残るためのコツ、ヒットするためのコツがわかってくる

そして、こまめに隠れ場所を移動している。確かに一カ所でずっと撃ちっぱなしだと、音で相手に居場所を知らせているようなものだと渡邉さんも言っていたな…。

夫婦の共同作業としてサバゲー!

気を取り直して、フラッグ戦の2回戦、3回戦に臨む。意識して移動を多くするようにし、相手が見えたらしっかりと狙いを定めて複数回撃つ。そしてまた隠れる。このスタンスを忠実に守ることで、最後のゲームではヒットこそ奪えなかったが、この日初めてゲーム終了時まで生き残ってフラッグを守り抜くことができた。

この高揚感と「撃たれるかもしれない」というスリル。やはりたまらない。汗もたっぷりかけて、一石二鳥だ。

すべてのゲームを終えると、筆者の敵チームに"助っ人"として参戦していた夫婦の方が談笑していた。夫婦でサバゲーに参加した理由を伺ってみると、「嫁の方が最初に始めたんですよ(笑) 土日も一緒にできるし、男女の体格差関係なしに楽しめるのが魅力ですね。それと、夫婦そろってコミュニケーションを取れますし」と旦那さんは笑顔で話してくれた。

一方の奥さんは、「普段戦うなんて、女性では絶対ないですからね。そういう意味では、女性の方がはまる人ははまると思います」とコメント。なるほど、確かに。夫婦での「共同アタック」か。サバゲーは、夫婦仲を良好にするスポーツでもあるのだな。

死角を無くして相手チームを攻撃だ!

そんな充実の表情、会社で見せていますか…?

では、初体験組はどのように感じたのだろうか。

まず、参加者メンバー最年長のHさんは「銃で打ち合うゲームなので、高い運動能力が求められるイメージを持っていましたが、実際には有利なポジションをいかに確保するかが決め手の頭脳ゲームでした」と、当初のイメージとのギャップに驚いた様子。「名称が与える印象とは異なり、安心して楽しめて、参加者同士が自然と仲良くなれるすばらしいアミューズメントだと思います」と笑顔で語ってくれた。

サバゲーは仲間で協力するから楽しいのだ

女性で唯一参加したSさんは、敵チームのフラッグを2回も奪う大活躍を見せた

Wさんは以前からサバゲー自体に興味はあったものの、装備や服装などの敷居が高いと感じていた一人。今回初参戦した感想の第一声は、「とてもスリルがあって、楽しいうえに大満足です!! 」。続けて興奮気味に「撃つ・撃たれるの緊張感や敵陣へ進むスリル、相手をヒットした際の快感など、初心者でも十分味わうことができます」とコメントしてくれた。

ゲーム中は、どこから弾が飛んでくるかわからない

いつもは比較的クールなS君は、「最初から楽しめるのに奥が深い。今度は自分たちで作戦を練って、チームワークを考えて行動するといったこともやってみたいと感じました」と気持ちよさそうに汗を拭った。会社でそんな充実の表情を見せたことありました…?

女性も活躍できるのがサバゲーの魅力

紅一点のSさんは、「戦場に女性が一人交じっても大丈夫なのだろうか」とゲーム開始前に不安に思っていたそう。ただ、実際にフラッグ戦が始まると2度もフラッグを奪う大活躍。「いつもより頼もしく見えた男性陣に守られながら、敵陣地のフラッグを奪うことができました」と、しっかり男性メンバーへのアピールコメントを入れながら、初体験のサバゲーをノリノリで振り返ってくれた。

筆者含め、参加した10人全員が大満足の時間を過ごせた

筆者の後輩であるI君は「撃つ前に撃たれてしまいます…」と、ゲーム中に何度も悔しそうな表情を浮かべていた。ただ、ゲームに慣れていくと共に「狙われやすい位置や相手が潜みやすい位置が分かって」きたそうで、「最後には夢中でゲームに没頭していました。明日もサバゲーに行きましょう! 」と、サバゲーの魅力にはまったようだ。

自慢げに筆者に「2回もヒットさせました!! 」と語っていたが、それが本当かどうかを確認する術はないんだよ、I君。たぶん、勘違いだよ、I君。その熱意を仕事にも生かしてくれよ、I君。

他にも、「今度は戦場を駆ける虎になりたいです」という「迷ゼリフ」を残してくれたYさん、「ぜひ今後も何か機会があれば参加してストレス発散してみたいと思います」と話してくれたMさんなど、全員が満足してくれたようだ。

店内にはクールなハンドガンやマシンガンが勢ぞろい。思わず購入したくなる……!

大人だからこそ、全力で遊ぼう

サバイバルゲームのメーンプレーヤーは20代だが、そのすそ野は確実に広がっており、既に全国のASOBIBA店舗において累計10万人以上もの「サバゲープレーヤー」が誕生している。装備品を手軽にレンタルできるうえ、郊外などの奥地まで行かなくても繁華街で楽しめる機会が増えているからだ。

渡邉さんは初心者でも楽しめる理由の一つとして、サバゲーにおける数々の世界観があるのではないかと話す。

「サバイバルゲームというと、『いきなり戦う』というイメージを持っている方もいるかもしれません。ただ、実は映画やゲームを舞台にしたものもあるので、その中でヒロインやヒーローたちの疑似体験を味わってほしいですね」。

ASOBIBAでは初心者優待デーを設けるなどして、サバゲーへの"入り口"をより広くしようとしている。こういったサービスも、「遊びを広めて人を豊かにしたい、幸せにしたい」という同社の理念から来るものだ。そのため、「もっとルールを整備化して環境作りをしていかないといけない」と渡邉さんは力をこめる。

子どもの頃、空き地や公園を輪ゴム鉄砲片手に無邪気に走り回ったという人も少なくないだろう。サバゲーは、その延長線上にあるスポーツ。さまざまなストレスを抱える大人になった今だからこそ、時には全力で遊ぶ機会をぜひ作ってほしい。

全力で遊んだ後にハイ、チーズ!