豚肉の生食を禁止し、飲食店などに加熱を義務づける食品衛生法の改正規格基準が6月12日、施行された。これに伴い、店舗にて豚肉の生レバーを提供するなどして同法に違反した場合、行政処分や刑事罰を受けることになる。

厚生労働省は、豚の生レバーや生肉はE型肝炎を引き起こす「E型肝炎ウイルス」(HEV)や食中毒菌に汚染されている可能性があることから今回、同法の基準改正に踏み切った。

E型肝炎は、HEVの感染が原因で起きる急性肝炎。主としてHEVに汚染された食物や水などの摂取による経口感染によって引き起こされ、その潜伏期間は2~9週間(平均6週間)とされている。妊婦がHEVに感染して発症した場合には、劇症化する確率が高いという。

厚労省によると、肝炎を発症した場合は高い確率で黄疸(おうだん)が出るとのこと。また、発熱や悪心、腹痛、肝機能の悪化などの症状が現れる。治療法としては急性期の対症療法のみで、大半の症例では安静にしていると治癒するとされている。

HEVに感染した場合、若年層では感染症状が出ない不顕性感染が多いが、高齢者ほど重症化しやすいとされている。国内ではE型肝炎での死亡例も確認されており、食品安全委員会によると2000年から2009年にかけて8人の死者が出ており、その全員が60歳以上となっている。

厚労省は「予防には手洗い、飲食物の加熱が重要」としており、「豚レバーをはじめとする豚肉については、生で食べないようにしましょう」と注意を呼びかけている。そのため今回、飲食店などに対して「中心部を63度で30分以上」か、あるいは同程度の殺菌効果がある加熱処理が義務付けられた。

2012年に牛の生レバー提供が禁止されたのに続き、豚の生レバーも禁止となったことを受けて、Twitter上には

「生レバー禁止つらすぎるって」

「今日から豚生レバー禁止か~」

「レバーは生なら食べられるようになった自分には辛い」

など、生レバー愛好者の嘆きの声が多数見られている(コメントはすべて原文)。