葛西臨海水族園は、同園「世界の海」エリアの「チリ沿岸」水槽で展示しているサラサエビの仲間「カマロンデロカ」の興味深い行動を紹介している。

バックヤードで飼育している個体。大きなオスの下に小型のメスが見える

「この娘はわたさない!」、カマロンデロカの交尾前ガードを観察

バックヤードの水槽で飼育しているカマロンデロカたちが、普段より活発に動いていることに飼育員が気付いた。よく見てみたところ、ひときわ大きなオスが小型の個体を脚の下に抱えて、周りから近づいてくる個体を追い払っている様子が観察され、「おおっ! 交尾前ガード」と思い、すかさず撮影したという。

以前観察されたタカアシガニの交尾前ガード。オスは長い脚でメスを囲う檻を作っているように見える

ユビナガホンヤドカリの交尾前ガード。白っぽい貝殻のオスが茶色い貝殻のメスをハサミでつかんでいる

「交尾前ガード」は、エビやカニなどの固い殻を持つ甲殻類によく見られる行動。メスが交尾可能なのは脱皮した直後の殻がまだ柔らかいときに限られるため、オスが確実に交尾を成功させるために、脱皮前のメスをガードして確保するよう発達したと考えられる。

まわりの個体を追い払おうとするオスの脚の動きは、どことなくユーモラスに見えるが、今回は抱え込んでいるメスがあまりに小さいため、源氏物語の「若紫」を思い起こさせたという。