エン・ジャパンはこのほど、2015年度の新入社員388名を対象に実施した知能+性格・価値観テスト「3E-IP」の結果を発表した。調査期間は2015年4月。

左:性格特性(偏差値) 右:創造的思考性(偏差値)

2015年度の新入社員「スマート家電型」

2015年度の新入社員は、中学校入学時には13~19歳のインターネット普及率が93.9%に到達するなど、欲しい情報が即座に手に入る時代で育った。高校入学時(2008年)にはTwitterが日本でのサービス提供を開始し、大学入学時(2011年)にはLINEがサービス提供開始したなど、コミュニケーションツールの変化も節目ごとに経験している。

また、デジタルネイティブ世代でもあり、得られる情報量が多く、直感よりも多角的なデータ・情報をもとに判断することが多いという。これらの特徴から同社では、2015年度の新入社員は、室内環境や使用電力量などを分析して、家事・家計のムダを削減する「スマート家電型」としている。

「決断力」が大きく上昇

昨年は積極的に物事を進める「主体性」や自分の意志を明確に伝える「意志伝達力」の低下が見られたが、今年の新人では再び上昇した。自分らしさを増進する教育や、自己表現するためのツールも増え、自分の言葉で伝える力が高まっていると考えられる。

一方、相手の気持ちを推し量り、周囲と協調して仕事を進めて行く「対人調和力」「協調性」は大きく低下した。SNSの普及により、気心が知れた昔からの人間関係を大人になっても継続できるため、新たな人間関係構築に苦手意識を持っている可能性も高い。

また、昨年より「決断性」が大きく上昇した。分からないことをすぐに調べることができ、即レスを求め・求められる文化にいたためであると考えられる。状況に応じて感じの良さを表現する「タレントマインド」に変化は見られなかった。

左:コミュニケーション力(偏差値) 右:エネルギー量(偏差値)

「タレントマインド」同様、周囲からの見られ方を気にする「評価・評判へのストレス耐性」に関する数値も昨年と変わらず、「嫌われたくない」という意識は依然として存在していることがわかる。キャリアタイプの指向性については、昨年とほぼ同じだった。

左:ストレス耐性(得点) 右:キャリアタイプ指向性(得点)

2015年度の新入社員の育成ポイント

同社ではこの結果から、「2015年度の新入社員 育成ポイント」を3点挙げている。ひとつ目は「指導は具体的に」。指導や指摘をする際は、具体的な経験談や事例を提示しないと響かない可能性が大きいという。

ふたつ目は「仕事の意義を丁寧に伝える」。仕事が「誰に対して」「どう役に立っているのか」を具体的に伝えたり考えさせるなどして、仕事の意義を理解させるサポートが必要とのこと。

三つ目は「賞賛は即レスで」。大学入学と共にLINEが一気に普及した今年の新人は、コミュニケーションは「即レス」が基本となる。新人が起こした行動に対して、その場で褒め、その場で問題解決することが信頼構築には必要になる、としている。