桜が咲きほこるオフィスがあるとのうわさを耳にして、早速、お邪魔することにした。そこは多国籍タウン・新大久保の駅のそば。エレベーターでオフィスビルの2階に上ると芝生の向こうに、ほんのりピンクの桜が見えている!

えっ? ビルの中に、桜の木……?

庭に桜があるのでは、断じて、ない。オフィスの中に花咲く桜の木が植えられているのだ!

夏が来ても冬になっても、ここはいつでも花霞の里!

みんなに春を、世界に日本を届けたい!

今回うかがったのは美容・セラピスト・エステの求人情報を発信するリジョブのオフィスだ。フェイクとはいえ、フロアに芝生を敷き詰め、桜を咲かせているのは一体なぜ? 経営推進グループの窪田みどりさんとエンジニアUNITの岩崎晃司さんにお話をうかがった。

――どうしてここに桜の木が?

窪田さん「ひとつ目の理由は、皆様にいつでも春を提供したいと考えているからなのです。リジョブは美容業界の求人サイトを展開していますが、新しい仕事に就くときには、いつでも桜咲く入学式の気持ちになっていただきたいという願いを込めて桜の木を置いています」

造花ではあるが、見た目はかなりリアル!

――門出を飾る桜、という訳ですね

窪田さん「もうひとつ、日本の技術やサービスを世界に届けていきたい、という意味もあります。ふだんの生活では気づきにくいのですが、日本の技術やサービスはとても高いクオリティを誇っています。それを世界に向けて発信していく場でありたいと考え、日本を象徴する桜でオフィスを彩りました。ですから、ロゴも世界に羽ばたく渡り鳥に桜の花びらなのです」

桜色に染まった渡り鳥の下には、花びらでできた日本列島!

勉強会はピクニック気分で

――このオフィスでは、どこを見ても必ず桜が目に飛び込んできますね

窪田さん「オフィスのコンセプトが、桜とリラックスとコミュニケーションなのです。桜の木の下でリラックスしながらコミュニケーションを深め、そこから世界に発信する技術やサービス、そして人のつながりが生まれてくれればいいと考えています」

こっちの会議室の壁は昼の桜

そして、こっちは夜の桜

岩崎さん「桜にちなんで『咲くらぼ』という計画も立ち上げました。『咲くらぼ』は日本の『桜』、ラボラトリー(LABORATORY)の『ラボ』、学びの結実として『花が咲く』という意味をこめたネーミングです。桜の咲くこの場所で勉強会をし、IT、美容関係の人たちに無料で貸し出して技術を磨いてもらい、それを世界に向けて発信していこうという狙いです」

右手に見えるオフィスに続くドアは公園のフェンスがモチーフ

――芝生の上で勉強を? もしかしてイスもテーブルもなく、直座りで?

岩崎さん「はい、芝生に直座りだとピクニックみたいで、みんなの距離が近いじゃないですか! 話しやすいし、突っ込みやすい。僕たちは『上から教えられる』という勉強ではなく『自ら学んでそれを伝える』勉強を目指しています。そういった主体的で柔軟な学びには、芝生に座るラフなスタイルが最適だと思うのです。ここから世界に羽ばたく技術や発想、人のつながりが生まれてくればしめたものです」

座ってみたら芝生がフワフワ。お尻が冷える心配もない

若手社員の一言でバーも誕生!

――社内外での反響はいかがですか?

岩崎さん「社内の評判は上々で、どんどんスケジュールが詰まってきています。発足から半月で社外から勉強会の予約も入りました。芝生の上で学びあい、活発に意見交換をしてもらい、終わったらそのまま、ここで懇親会を楽しんでいただくつもりです。

――懇親会と言えば、実は、窓辺のカウンターが気になっていたのですが

窪田さん「カウンターに集まってがやがやしていたスタッフたちの間で『ここ、バーにしちゃいましょうよ』という話になって。そうしたら、その案がすんなり通ってしまい(笑)言い出しっぺの入社4年目の男性社員がこの企画を任されることになりました。それにより更にコミュニケーションも増やしていきたいですね。バーの収益はCSVに役立てる予定です」

ぱっと見は、おしゃれカフェ。ここが夜はバーになる

――もしかして、昼もお酒が飲めるんですか?

窪田さん「さすがに昼からは出せないので(笑)、ハーブティーを出すつもりです。実は今、美容業界の技術とサービスを広く一般に届けることを目的にした『Faura(ファウラ)』という新規事業を立ち上げたところです。リジョブに関わって下さる『美のプロ』の皆さんが、美容に関する情報を発信して下さっているので、その方たちがお勧めするハーブティを、このカウンターで社員やお客様に飲んでいただくつもりです」

桜の下で飲むハーブティー。心にも身体にもとことん優しい

――すごく風通しが良くて柔軟な社風なんですね!

窪田さん「はい。スピーディさが我が社の売りですし、社内には変化の早さを楽しむ気風がありますよ。みんな会社を創っていく過程を楽しんでいますし、良い意見はどんどん取り入れていきたいと思っています。自ら会社を創っていく意識で若い人もどんどん育ちますし、そこから世界の人たちに喜ばれる仕組みも創り出したいと考えています」

桜咲くオフィスでは、スタッフの笑顔も花のよう

世界に届く花が咲く土壌に

日本を象徴する花・桜が咲き続けるオフィスには、柔らかく独創的な風が吹いていた。この気さくで建設的な土壌から、世界に羽ばたく技術やサービスが育まれていくのだろう。

けれども、ひとつだけ気になることがある。だから失礼とは思いつつ率直に、でも、おずおずと聞いてみた。

「あの、桜のお手入れなんかが大変なのでは……?」

窪田さんは楽しげにほほ笑みながら、こうおっしゃった。

「みんなでハタキでパタパタして、きれいにしますから」

この軽やかさがあるからこそ、この斬新で創造的な空間を生み出すことができたのだ!

木に鳥がとまるように、ここには柔らかな発想を持つ人が集まるのだろう