JALグループは2月19日、「2012~2016年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン 2015」(以下、「ローリングプラン 2015」)を発表した。

JALは2012年2月に「2012~2016年度 JALグループ中期経営計画」を発表した後、毎年度末に過年度の振り返りを行い、残された中期経営計画の期間内での経営目標達成のため、同計画の進捗状況や取り組み方針を再確認し、ローリングプランとして発表。今年で3回目になる。

収支・財務計画 - 収入関連指標

国内線のURは前年度比約1%増

2015年度の国際旅客のユニットレベニュー(UR)は、価格施策、新商品投入路線の拡大、レベニューマネジメント等により、イールド・搭乗率(L/F)の双方を引き上げる一方、燃油サーチャージ引き下げによる収入の減少が影響し、前年度を約5%下回る計画となっている。一方、国内旅客のURは、新商品投入路線の拡大と、機材の需給適合を徹底することにより、イールド・L/Fともに向上させることで、前年度比約1%増となる見通しとなっている。

「JAL SKY SUITE」導入路線を拡大

路線ネットワーク(国際線・国内線)においては、変動する需給環境に的確に対応できるよう、採算性を十分に見極めながら、北米とアジアの将来的な需要拡大を見据え、中・距離路線を中心にネットワークの拡充する。加えて、「JAL SKY SUITE」機材の導入路線を拡大していくことで、快適性の向上も図っていく。

提携関係については、利用者の利便性を高めるとともに収入を最大化するべく、提携航空会社および提携路線のさらなる拡大を図る。また、oneworld加盟航空会社のネットワークを最大限活用するという。

国際線に関しては、787-8機材では「JAL SKY SUITE 787」の導入を進めるとともに、2015年度からは同じくSKY SUITE仕様である長胴型の787-9機材を導入し、「ひとクラス上の最高品質」をさらに多くの路線で提供。また、中距離路線を中心に投入される777-200ER機材についても、客室仕様を一新した新機材を導入する予定となっている。

その結果、全ての中・距離路線におけるビジネスクラスおよびエコノミークラスにおいても、座席の前後間隔に加え、座席幅にもこだわりを持った、世界最高レベルの居住空間となるという。

また、機内インターネット接続サービスは現在サービスを導入している777-300ER機材に加え、767機材、787機材、777-200ER機材にも導入。より多くの乗客に、空の上であっても地上と変わらないストレスフリ-な過ごし方を提供していくという。

路線ネットワーク(国際線・国内線)における今後の取り組み

2016年度までには対象全機に「JAL SKY NEXT」

国内線の羽田発着路線については需要に合わせた機材を投入し、利用者利便性と収益性の向上を図る。3月14日の北陸新幹線延伸開業に関連した利便性の観点から、小松線の便数を維持するものの機材の一部小型化で対応。

一方、伊丹発着路線については、長距離便制限のさらなる緩和により、伊丹=新千歳線を増便する。また、2014年度夏期に再開した地方6路線については、2015年度も地域と共に路線運営を行うことで夏期の運航を継続する。

国内線利用の様々なタッチポイントにおいて、利用者の選好性向上に対する取り組みを加速するという。「JAL SKY NEXT」については、2016年度には対象全機でのサービスの提供を目指し、2015年度は小型機の737-800機材にて運航している羽田と各地方を結ぶ路線を中心に、対象路線を大幅に増やす。

3月下旬からは、「JAL スマートスタイル」の一環として、羽田空港において手荷物預けに要する時間を短縮する「JAL エクスプレス・タグサービス」を開始する予定。ラウンジについては、新千歳空港、伊丹空港、福岡空港において施設の拡充を図る。

グループ航空会社の事業運営については、地上ネットワーク路線はリージョナルジェット化により、利便性と収益性の向上を図り、生活・離島路線はターボプロップ機材にて地域に貢献する効率的で安定的な運営を行う。また、沖縄地域においては新機材を投入し、快適性と収益性を高めていく。提携関係については、FDAとのコードシェアとして3月末より名古屋小牧=出雲線・北九州線を追加し、4月からは天草エアライン(AMX)の全路線1でコードシェアを開始する。

2016年度末までに総機数は224機

航空機については、経年化する777機材、767機材の退役を進める一方、長胴型の787-9機材の導入を2015年度より開始するなど、2016年度末時点での787機材の導入機数は合計33機となる見込み。また、グループ航空会社においても機材更新を順次開始する。

ジェイエアはCRJ200機材の退役を開始し、E170機材およびE190機材を導入する。日本トランスオーシャン航空は、737-400機材の後継として737-800機材を導入。日本エアコミューターは運航機材の更新を順次開始を予定しており、琉球エアーコミューターはDHC-8 Q100/Q300機材の後継としてDHC-8 Q400EC機材を導入する。

JALグループ機材数推移(年度末保有機材ベース。退役待ち機材を除く。中期経営計画ローリングプラン 2015よりHAC機材を含む)。大型機は777、 中型機は787/767、小型機は737、RJ(リージョナルジェット)機以下はERJ/CRJ/Q100-Q400/SAAB

以上により、2016年度末時点のJALグループにおける総機数は、224機(国際線82機、国内線142機)となり、2015年度と2016年度における航空機投資額は、合計3,480億円となる見込みとなっている。