ハイボールをきっかけにウイスキー愛好者のすそ野が広がる一方、最近ではより深くウイスキーを楽しみたいという人が増えてきている。そんな本格志向の人を中心に最近注目されているのが”クラフトバーボン”だ。

ビーム家7代目のフレッド・ノー氏。名匠と謳われた6代目のブッカー・ノー氏の志を継ぎ、マスターブレンダ―としてバーボンづくりとその魅力の伝道に努めている

「クラフト」とは、元々は技能や手工芸品を意味する言葉。最近では、2014年ブームとなった”クラフトビール"のように、大量生産される工業製品に対し、小規模でこだわりを持って作られたプレミアム商品といった意味あいで使われている。また「バーボン」は、アメリカ・ケンタッキー州生まれのウイスキーの名称で、原料にトウモロコシを51%以上使用し、内側を焦がした新樽で熟成するなど、いくつもの原料や製法の特徴を満たしたものを指す。材料や製法に加え、寒暖の差が激しいケンタッキー州の気候も影響し、甘く強い香りと深いコクが特徴的。アメリカをはじめ世界中で愛されてきたが、2014年、販売数量世界一の「ジムビーム」のビーム社をサントリーが買収したことで、日本でも一気に注目が高まり、CM等で露出も増えてきている。その「バーボン」のなかでも少量生産された高級路線のものが、"クラフトバーボン”と呼ばれているのである。

一本一本に味の違いと深いストーリーを持った個性派揃いで、こだわりのつよい日本人に強く訴えかけてくる”クラフトバーボン”は、次なる“クラフト”ブームの担い手として2015年はさらに盛り上がりを見せるとみられている。Amazonでも2015年1月より「クラフトバーボンストア」を開設。サントリーの“クラフトバーボン"販売に力を入れ始めている。今回Amazonでクラフトバーボンを取り上げた理由をお聞きすると、「Amazonでは近年クラフトビールへの注目が高まってきたことから、2014年12月にAmazon限定のクラフトビール『月面画報』を発売し、お客様から好評を頂いています。また、クラフトバーボンもお客様からの支持が拡大し、特に2014年の後半からさらに注目が高まっております。このように、お客様のニーズも高まっていることから、『クラフトバーボンストア』を展開していくことで、お客様のニーズにお応えしていきたいと考えました」(Amazon・森川バイヤー)とのこと。早くも多くのお客が「クラフトバーボンストア」を訪問し、販売も好調だという。

代表的な"クラフトバーボン”を紹介

Amazonでの特設ストア開設を記念し、このほど「ジムビーム」のビーム家7代目のフレッド・ノー氏が来日。サントリーの"クラフトバーボン”の特徴と魅力についてプレゼンテーションを行った。以下、フレッド・ノー氏からの解説を含めつつ、代表的な"クラフトバーボン”5銘柄を紹介しよう。

・ノブ クリーク
ビーム家6代目のブッカー・ノー氏が、禁酒法施行以前の“本来あった姿”のバーボンを目指して作り上げたもの。バーボンとしてはかなり長めに9年以上の熟成を行なっており、アルコール度数50度の力強い味わいが特徴。クラフトバーボンの中でも、中心的な存在だという。強い風味があるためミキシングしても香りが残りやすいと、アメリカのミクソロジストに愛好されているとのこと。バニラのような甘い香りと、深みがあり強い味わい。ほんのりスモーキーさも感じさせつつ、深い余韻が長く続く。

・ノブ クリーク シングルバレル
9年熟成樽の中から厳選したシングルバレル。樽ごとの違いを楽しみたいという通好みのお客の声を受けて開発。「ノブ クリーク」よりさらに華やかで力強く、深みのある味わい。

・ベイゼル ヘイデン
昔"オールド・グランダッド"と呼ばれ慕われたバーボンの先駆者の名を冠する1本。8年熟成。ライ麦比率を「ジムビーム」の2倍以上に高めており、ライ麦独特のスパイシーさがほどよく感じられる。8年熟成ながらアルコール度数を40度に抑え、なめらかな口当たりでほどよく甘く飲みやすく、後味はすっきり。

・ベイカーズ
熟成の進みやすい貯蔵庫の上段で7年熟成。アルコール度数53,5度で、最もパンチのある1本。ウッディーな香りがつよく、口に含んだ瞬間にガツンとつよいインパクトがあり、余韻も長い。少し加水すると味が大いに変化し、また違った味わいが楽しめるとのこと。

・ブッカーズ
当初は友人と家族のみに出していたという、6代目のブッカー・ノー氏の最高傑作と呼ばれる1本。バーボンのあるべき姿を楽しんでもらいたいと、6~8年の熟成樽から厳選した原酒を、割水やろ過等せずにそのままボトリング。アルコール度数63%ながら、マイルドで甘く、穏やかな印象。豊かな余韻が続く。

Amazonでの特設ストア「クラフトバーボンストア」開設を記念し、フレッド・ノー氏による”クラフトバーボン"のプレゼンテーションが行われた