防護スーツを着て巨大アナコンダの体内に潜入を試み、アメリカで話題を呼んだ番組『潜入! 巨大アナコンダの体の中』が24日(18:00~20:00)、ドキュメンタリーチャンネル「ディスカバリーチャンネル」で放送される。同番組が日本で放送されるのは、今回が初となる。

巨大アナコンダの体内潜入実験を試みたポール・ロゾリー氏

同番組は、博物学者でアナコンダ専門研究家のポール・ロゾリー氏が南米のアマゾン研究のために、特殊な保護スーツを着て巨大アナコンダへの潜入を試みるというもの。米国ディスカバリーチャンネルの放送に先駆けて、ロゾリー氏が自身のツイッターで「私はアナコンダに生きたまま食べられる初めての人間になろうとしています」という宣伝コメント共に番組の紹介動画を投稿。インターネットを中心に話題を呼んだ。

ロゾリー氏は10年以上にわたってアマゾンの研究を専門とし、アナコンダの生息地であるペルーの熱帯雨林の保護活動に従事している。幼少期からヘビに魅了され、小学2年生の時に初めてヘビを見つけ、捕まえようとしたところ先生に止められて号泣。以来、見つけたヘビは必ず捕まえるようになったという。3年前のペルーで、自身にとって最大級のアナコンダに遭遇したものの、捕獲にもう一歩のところで失敗。今回、そのアナコンダを求めて同地を訪れた。これまで捕獲されたアナコンダの最大記録は7メートル50センチ。彼が遭遇したものは、それよりもさらに巨大なものだという。

撮影ポイントは、地元の人々が「floating forest」(浮遊する森)と呼ぶアマゾンの深奥の秘境で、別名「禁断の地」。人食いヘビの伝説や不気味な逸話が数多くある危険地帯で、世界最大級のアナコンダが生息し、野生で観察できる数少ない地域の1つとされている。ここで撮影班が60日にわたって密着し、ロゾリー氏の命懸けの挑戦を記録。専門家チームと共に旧知の親友や妻も同行した。

特殊防護スーツ

今回の撮影に際し、ロゾリー氏が着る防護スーツは本人とアナコンダ両方の安全面を考慮して設計された。アナコンダは、まず強力な締め付けで獲物を絶命させる。その数値は90psiで大型のスクールバスを乗せられるのと同等の圧力。そのためスーツはカーボンファイバー製で肋骨部分が重点的に守られている。また、体内の強烈な胃酸から身を守るために、127種類の胃酸薬品でテストした化学防護服も装着。さらに、中世の騎士と同じような鎖かたびらは、ヘビの鋭い歯を防ぐ役割を担っている。

この多層構造の中には、計測用のベルトも着用。心拍数、呼吸数、深部体温を無線で送信し、実験記録と共に不測の事態に備える。酸素マスクは、酸素の供給のほかに外部との通信が可能。ヘルメットは、ヘビの獲物の質感に近い合成ゴム製で、埋め込まれた2台のカメラでヘビの体内を撮影する。これらの装着が完了すると、ヘビをおびき寄せるために全身にブタの血を塗る。「この日を待っていた」と語るロゾリー氏。周囲からの「無理だと思ったらすぐに中止を」の呼びかけに「了解」と答え、「あの世で会おう」と言いながら、巨大アナコンダに身を捧げた。果たして、前代未聞の実験の結末とは。

アマゾンは地球の酸素の5分の1を産出する地域でありながら、採鉱や違法伐採など環境破壊が進んでいる。原題"Eaten Alive?"のとおり、"生きたまま食べられる"ことを試みる今回の目的は、捕食行動を調査することによって人間とアナコンダが共存するために役立てることのほか、アナコンダの保護やアマゾンの環境問題を世界に広めたいという願いも込められている。ロゾリー氏は「今、何が起きているのか、人々に理解してもらいたい。そのために、地球上で最も大きなヘビ・オオアナコンダに命を任せる。これ以上衝撃を与え、注目を集める方法はないだろう?」と問いかけ、「この地球上で最も大きなヘビが、実は最も理解されていない種の1つであるということは奇妙なことだ」とコメントを寄せている。

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