女優の新垣結衣、三木孝浩監督らが14日、東京・内幸町のイイノホールで行われた映画『くちびるに歌を』(2月28日公開)の完成披露試写会に出席した。
全国学校音楽コンクールの課題曲となった「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の作者であるアンジェラ・アキのテレビドキュメンタリーをもとに、作家・中田永一が『くちびるに歌を』として小説化。この原作を『ホットロード』(2014年)のヒットも記憶に新しい三木監督が映画化し、長崎・五島列島の中学校を舞台に、天才ピアニストだったとうわさされる臨時教員・柏木先生(新垣)と合唱部の生徒たちとの人間ドラマを描いている。
登壇した新垣は、作品の感想を「監督に言ったのは『気持ちよかったです』という言葉でした。清涼感というか。すごく洗われるというか、力強いというよりはフワッとしているような。生徒たちがすごく輝いていた」と伝え、「柏木を通して15歳の自分を思い出していただければ」と観客に呼びかけた。この日は新垣、三木監督のほか、合唱部のキャスト12人(恒松祐里、下田翔大、葵わかな、柴田杏花、山口まゆ、佐野勇斗、室井響、朝倉ふゆな、植田日向、高橋奈々、狩野見恭兵、三浦翔哉)が勢揃い。クライマックスのシーンさながらに「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の合唱を、満員の観客の前で披露した。
オーディションで抜てきされた12人は撮影前、半年におよぶ合宿練習を経て、長崎での撮影合宿に臨んだ。新垣とは1カ月半の合宿ロケ生活を共にしたが、この日の生徒たちは撮影中に面と向かって伝えられなかった思いを「一行手紙」として、それぞれフリップに書き込んだ。佐野勇斗が掲げたのは、五島弁で相手に思いを告げる「好いちょっけんね」。これに新垣は「ありがとう」と返し、室井響からの「男子部員の中でタイプは誰ですか」には、「そんなことばっかり考えて撮影していたのか(笑)!」と一喝し、観客は大ウケ。「まだまだ皆さん変化しますから」と優しい言葉をかけながら、「選べませーん!」と男子生徒たちの熱烈アプローチをさらりとかわしていた。
本作は新垣にとって初の教師役。さらに、未経験のピアノにも撮影前の3カ月前から練習に励んで撮影に臨んだ。新垣は「まずピアノを触ること、ピアノの前に座ることに慣れるところから始めました」と報告。「基礎練習をやっている時間がなくて、できるかぎりは努力して。ピアノに憧れはあったので柏木の気持ちには寄り添えたかなと思います」と撮影中を思い返し、「みんなの歌声も現場で聴けば聴くほどよくなるのでそれに刺激を受けて、負けないようにというか。私も一緒にという気持ちでやらせてもらいました」と生徒たちにも感謝した。
合唱部のキャストはこの日を皮切りに、全国18都市をまわる「合唱キャラバン」をスタート。新垣は、「私はみなさんの声にすごく励まされたし、良い意味で心を揺さぶられた」と誇らしげに語りながら"柏木先生"の一面を伺わせ、「それを多くの人たちに届けてきてください。がんばれ!」とエールを送った。