マカオに行ったら何をする? ポルトガル語で書かれた通りの名前や石造りの建造物が世界遺産にも指定されている旧市街散策やカジノで運試しもいいし、ミシュランの星付きレストランから庶民的なB級グルメまで、なんでもござれの街での食い倒れも忘れちゃいけない。これらはマカオの定番観光だが、「いやいや、マカオといえば絶対これでしょ! 」と目を輝かせる人が増えているという人気のアクティビティがある。

これが「百年夫婦樹」。風車のような飾りのついた絵馬に願をかけ、永遠の愛を誓う

「ここがマカオの始まりです」とガイドさんに案内されたのは、海に面した小さなお寺。1488年に建立されたという古刹「媽閣廟」は「マー・コウ・ミュウ」と発音するのだが、ポルトガル人がこのすぐ目の前に上陸した際、土地の人に「ここはどこですか? 」と聞いたところ、寺の名前が返ってきた。そのため、この土地自体の名前が「マカオ」であると勘違いした、という逸話が残る寺である。2本の木々が絡み合って伸びているマカオ最古といわれる「百年夫婦樹」もあり、ちょっとしたパワースポットとして地元の人々にも愛されているこの寺から、マカオ旧市街ツアーは始まる。

ちょっとがんばればどこでも歩いて巡れるほどの範囲に、カトリック教会や石造りの建築物が点在する。道路は石畳、掲げられている標識にはポルトガル語と漢字表記の両方がされていて、いかにもコロニアルな雰囲気。旧市街観光の目玉はなんといっても聖ポール天主堂で、近くにある15世紀に築かれたモンテの砦とともに人気を博す。天主堂は3度にわたる火災によりファサードを残して焼失してしまったのだが、今でも鮮明に見られる彫刻はいかにも仏教徒が造ったカトリック教会らしい折衷なところや、さまざまなストーリーが織り込まれており、それだけでも必見のおもしろさだ。

聖ポール天主堂はファサードだけながらその存在感は健在。あたりには土産物店がひしめく

街中でのバンジージャンプ!

マカオタワーのバンジージャンプスポット。下を見ると……高い!

まるで時が止まったままのような旧市街に対し、新市街はかなりアクティブ。高層の高級ホテルがいたるところに建設され、カジノ、ショッピングモール、レストランやバーなどが充実している。その一角、マカオ半島の南端に位置するマカオタワーはマカオ一の高さを誇る複合施設で、高層部には展望台も設置されている。高さは338m。世界中で高層ビルが乱立する昨今では小ぶりではあるが、マカオの町の様子はもちろん、香港や中国本土までもが見渡せる。展望レストランもあり、こちらも人気だ。

……が、やはり注目はここからのバンジージャンプ。日本一のバンジージャンプは高さ100mというが、こちらはなんと233m。しかもバンジージャンプは渓谷や橋の上から、ということがほとんどだが、こちらは都会の風景を眺めながらのバンジー。これはかなり珍しいのではないだろうか。料金は2,888パタカ(約4万3,250円)~

「いやバンジーなんてムリムリ! 」という人でも、その高さと風を肌で感じることができる。展望台をぐるりと囲む幅160cmの足場の上を散歩する「スカイウォークX」だ。2本の命綱をつけているとはいえ、インストラクターの指示は、勢いをつけて走ったり、ロープに体重を預けたまま空中に身を乗り出したりと、高いところが苦手な人にはなかなかハード。

「スカイウォークX」を体験。自分のカメラは持ち込み不可なので、スタッフに撮影してもらう。料金には特製Tシャツ、写真USB、証明書が含まれている

だが、へっぴり腰ながらこなしていくと、空中に足を投げ出して座ったうえに、にこにこ笑って記念撮影ができてしまうまでに恐怖を克服。さらには、「楽しかった」なんていう感想を述べるものまで現れる。高いところが大好き! という人ならかなり楽しめるが、実は苦手、という人でもきっと「やってみてよかった」と思うことだろう。ちなみに、お値段は1回788パタカ(約1万1,800円)だが、2回目以降は199パタカ(約3,000円)、4回目は無料となる。18歳未満は親と一緒なら体験可能だ。マカオタワーには、他にもマスト登りや、バンジーほど速くはないが落下体験ができるスカイジャンプなど、とにかく高さを楽しむことができるアトラクションが満載だ。

スリリングな体験で興奮冷めやらぬうちにぜひとも出かけたいのが、タイパ島とコロアン島の間の海峡を埋め立ててできたコタイ地区。大型リゾートとカジノが融合した複合施設の建設が盛んで、2015年にもオープンを控えている施設が目白押しだ。数年前にオープンし、すでにコタイ地区の顔のひとつとなっているCity Of Dreams。ここに一昨年前に誕生した新アトラクション「ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」は、「これを見るためにマカオにまた来たい! 」という人が続出しているという大人気のショーだ。

今年新しくできたCity Of Dream入口のトンネル。マカオの新市街はどこでも派手な演出

幻想的な演出にうっとりする、House of Dancing Water。実力派俳優と演出家によるスペクタクルショー

370万ガロンもの水を使ったダイナミックなショーは、ロマンチックなストーリー展開もさることながら、ダンサーたちの演技のすばらしさが大きな見どころ。アクロバティックな動きに目が釘づけになり、あっという間の90分間だ。ネタバレになるのでここでは詳しく書かないものの、とにかく最後のほうの演出はそれまでのストーリー世界を一瞬にして崩壊させるほどのパワーがある。せりふがないので詳細がわからず、「なぜそこで、それが? 」とナゾながらも、最後には大喝采で終わるので一度は見てみてほしい。

マカオでしか体験できない興奮のアクティビティ。大人から子どもまでばっちり楽しめるのも魅力だ。1日ではとても遊びつくせない魅力がマカオにはある。

日本からマカオまではマカオ航空の直行便が成田から週4便あるほか、日本各地からまたは香港経由で気軽に行くことができる。香港からはフェリーで1時間ほど。近いうちに香港 - マカオを結ぶ橋も完成するといい、ぐっと利便性があがる。日本の各主要都市からほんの4~6時間で行ける近場の旅先である。