東洋新薬はこのほど、二日酔い予防や肥満改善の作用などが確認されている「葛の花エキス」に、新たに「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」の改善作用があることを確認した。

葛の花エキスは、葛の花部から抽出して製造される

葛(くず)は、根の部分は葛根湯などに使われる生薬として利用され、丈夫なツルの部分は縄や籠などの日用品として利用されており、古くから日本人の生活に深い関わりをもっている植物。葛の花エキスは葛の花部から抽出して製造される機能性素材で、7種類の「イソフラボン」と3種類の「サポニン」を含有していることが特徴とのこと。

これまでの同社の臨床実験により、葛の花エキスには、二日酔い予防作用、肥満改善作用、肝機能改善・保護作用があることが確認されてきた。

今回は、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」のうち、症状が軽く改善しやすい「非アルコール性脂肪肝(NAFL)」に着目。酒の飲みすぎが肝臓に悪いことは一般的に知られているが、実は日本人の脂肪肝の原因は、食べ過ぎや運動不足によるものも多いという。NAFLは、「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」という放置すると肝硬変・肝細胞がんになるものに進行する可能性があり、比較的症状の軽いNAFLも重要な病態といわれている。

臨床実験では、アルコール摂取量が20g/日以下で、かつエコー検査にて脂肪肝が確認された軽度肥満男性21名を対象に二重盲検群間並行試験(※1)を実施した。被験者には、葛の花エキスを300mg含有する錠剤(葛の花エキス群)と葛の花エキスを含まない錠剤(コントロール群)を8週間摂取させ、血中ALT(※2)および肝脾CT値比(※3)を比較した。

「血中ALTの比較」「肝脾CT値比の比較」

実験の結果、葛の花エキス群では、摂取前およびコントロール群と比較して、血中ALTが有意に低い値を示し、特に摂取8週間後の検査においては30U/Lを下回っていることも確認された。

また、摂取前の肝脾CT値比が1.0以下の被験者で、さらに最大、最小値の被験者を除いて層別解析をしたところ、摂取前と比較して肝脾CT値比の上昇傾向が認められた。

これらのことから、葛の花エキスがNAFLの改善作用を示すことが示唆されたという。

※1 二重盲検群間並行試験:被験者の思い込みによる影響や試験実施者の挙動が被験者に影響を与える可能性を排除するために、被験者および試験実施者側に試験品の中身を知らせずに効果を検証する試験のこと。

※2 ALT:アラニンアミノ基転移酵素(Alanine aminotransferase)の略。肝臓細胞に多く含まれる物質であり、血中のALT濃度が肝臓障害の程度の指標として利用される。血中ALT値が30U/L以上でNAFLである可能性が高いと報告されている。

※3 肝脾CT値比:脂肪肝の診断の際に用いられる値。腹部CT画像解析を行い、肝臓のCT値を脾臓のCT値で割った値であり、1.0以下の値であれば脂肪肝と診断される。