スウェーデンのボルボはこのほど、ボルボ・セーフティ・センターにおいて、新型「XC90」に標準装備される「ランオフ・ロード・プロテクション」が作動する様子を公開した。道路逸脱事故に対応する世界初のソリューションの有効性を確認する実験内容となっている。
ドライバーの不注意や疲労、悪天候などのさまざまな要因により、道路逸脱事故は数多く発生している。アメリカでの交通事故死の半数は道路逸脱事故によるものだ。スウェーデンの乗用車の交通事故では、重傷もしくは死亡事故のうち3分の1が、単独での道路逸脱事故に起因している。
「ランオフ・ロード・プロテクション」は、こうした道路逸脱事故に対応する世界初のソリューションとなる。道路逸脱事故は乗員の体がランダムな方向へ動くきわめて複雑な事故で、乗員の体を固定することが重要となる。ボルボでは、乗員をしっかりと定位置に保つことと、衝撃エネルギー吸収機能をシートに導入することに焦点を絞り、開発を続けてきた。これらの機能により、道路逸脱事故で頻繁に起こる、深刻な脊椎損傷のリスクを低減させることができる。
現時点では、道路逸脱への対応を評価する基準や試験は存在しない。そのため、「ランオフ・ロード・プロテクション」はユーロNCAPなどの第三者機関による安全評価では評価対象とならない。ボルボでは、「安全への取組みは、評価試験をパスすることや、評価テストで高い点数を得ることが目標ではありません」と発表している。
ボルボは、「2020年までに新しいボルボ車において交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という安全目標「ビジョン2020」に取り組んでおり、「ランオフ・ロード・プロテクション」もこれを実現するための努力の一環と位置づけられる。