避妊具として世界中で使用されているコンドーム。中でも、日本製品の品質は世界でもトップクラスとされている。そこで実際、どのような製造工程や検査を経て出荷されているのか。世界50か国以上でコンドームを販売する相模ゴム工業がマレーシアに構える工場を訪問した。

「サガミオリジナル001」

ラップフィルムとほぼ同じ薄さの「サガミオリジナル001」

日本有数のコンドームメーカーである同社は9月1日、「サガミオリジナル001(ゼロゼロワン)」を全国にて発売した。商品名にも使われている「001」は、皮膜の薄さが0.01ミリということを意味する。身近なアイテムでいえば、ラップフィルムと同程度の薄さだという。

同商品は、マレーシア西部のペラ州にある「SAGAMI MANUFACTURERS SDN.BHD.」の工場にて生産されている。今回は、相模ゴム工業のヘルスケア営業本部の営業企画室室長と営業管理部部長を務める樋沢洋さんに工場内を案内してもらった。

皮膜越しに指紋がはっきりと見られるほどに薄い「サガミオリジナル001」

マレーシアにある「SAGAMI MANUFACTURERS SDN.BHD.」

世界でも数社しかいないISOを取得し、安全性を担保

そもそもコンドームはどのようにして作られるのか。同社では天然ゴムラテックスとポリウレタンの2つの素材を用いており、「サガミオリジナル001」はポリウレタン製だ。素材は異なっても、作り方はほぼ同じだという。

まずは成型。「液体状の素材をプールに入れて、その中にコンドームの形をしたガラス管を浸し、それを乾かすことによって形を作ります。浸した液体からゆっくりと引き上げると薄い皮膜が、早く引き上げると厚い皮膜ができます」。この成型時の工程で同社独自の技術を用いることで、「世界最薄」(同社)である0.01ミリの薄い皮膜を実現することができるのだ。

ガラス管の中に入っている紙には数字が記されている

素材となる液体状のポリウレタン

一つひとつのガラス管の中には、それぞれ異なった数字が書かれた紙が入っている。そのナンバーは、コンドーム本体にとても薄く刻印されている。万一コンドームに不具合があった際に、どの製造ラインのどの場所でいつ作られたかをトレースできるためだ。

次に行うのは、ピンホール(微細な穴)がないかをチェックするための「ピンホール検査」だ。成型されたすべてのコンドームを金型にかぶせ、そこへ電気を流す。ポリウレタンも天然ゴムラテックスも電気を通さないため、通電したら穴が開いている証拠。それらの"不良品"は即座に排除される。

樋沢さんは「コンドームは薬事法上で『管理医療機器』に分類される医療機器です。高水準の品質を保つため、安全管理を徹底する必要があります。弊社はコンドームの国際規格である『ISO』への適合はもちろん、輸出する国々の個別の規格もクリアするため、社内基準値を厳しく定めて品質管理を行っています。世界のどの国の品質規格にも耐えうるコンドームを製造できる工場は、弊社の他に数社しかありません」と話す。

ピンホール検査の様子