世界で最も複雑といわれる、網の目のように張り巡らされた鉄道網を形成する東京都内。各路線の駅間距離も短く、隣駅まで歩いて行けることも珍しくない。「別路線の別名の駅がすぐ近くにある」というケースも多いようだ。

東京23区内に「意外に近い別名の駅」は多い(写真は東京メトロ10000系)

そこで東京23区内の駅を対象に、「意外に近い別名の駅」(東京メトロや都営地下鉄が指定した乗換駅は除く)を探してみた。

人形町駅・水天宮前駅(東京メトロ)

人形町駅は東京メトロ日比谷線と都営浅草線の乗換駅。一方、水天宮前駅は東京メトロ半蔵門線の単独駅で、動く歩道を通じて東京シティエアターミナル(TCAT)とつながっている。日比谷線ホームから出られる人形町駅A1・A2出口は甘酒横丁交差点のそばにあり、すぐ近くに水天宮前駅7・8番出口が見える。

駅周辺には、駅名の由来となった水天宮や、交差点名にもなった甘酒横丁など、下町情緒を感じさせる観光スポットが多い。飲食店も充実しているので、ランチや飲み会ついでに立ち寄ってみるのも良さそうだ。

新富町駅・築地駅(東京メトロ)

新富町駅は東京メトロ有楽町線、築地駅は東京メトロ日比谷線の駅で、ともに所在地は中央区築地。地図で見ると、新富町駅4番出口と築地駅4番出口は100~200m程度しか離れていない。ただし、築地駅4番出口とつながっているのは北千住方面ホームで、中目黒方面ホームへは同駅3番出口を利用するか、改札内の連絡通路を渡る必要がある。

駅周辺は中央区役所をはじめ、行政機関やオフィスビルの多いエリアといわれる。聖路加国際病院や聖路加タワーへ行く場合も、電車なら新富町駅・築地駅で下車すると便利。築地駅の南側には築地本願寺や築地市場もあり、都営大江戸線の築地市場駅も徒歩圏内。仕事中の移動や観光などに役立ちそうだ。

代々木公園駅(東京メトロ)・代々木八幡駅(小田急電鉄)

代々木公園駅は東京メトロ千代田線の駅で、1978年に代々木公園~代々木上原間が開業するまで千代田線の終着駅だった。当時の乗換駅は小田急線代々木八幡駅だったそうで、代々木公園駅1番出口と代々木八幡駅南口は至近距離にある。

現在は代々木上原駅が乗換駅となり、小田急線と千代田線の相互直通運転が行われ、小田急ロマンスカーさえも千代田線に乗り入れるようになった。ただし、いまでも大幅なダイヤの乱れが発生したときなど、まれに千代田線の電車が代々木公園駅までの折返し運転となる場合があるという。

牛田駅(東武鉄道)・京成関屋駅(京成電鉄)

牛田駅は東武スカイツリーラインの駅、京成関屋駅は京成本線の駅で、ともに所在地は足立区千住曙町。両駅は道路を挟んで向かい合っており、その距離は100mも離れていない。別の駅名を名乗っているのが不思議なくらいだが、現在は連絡運輸が行われ、東武鉄道・京成電鉄のホームページでも乗換可能であることが案内されている。

京成本線はこの地域のターミナル駅である北千住駅を通らないため、青砥方面の各駅から北千住駅へ向かう場合はここで乗り換えるのが良さそう。東武スカイツリーラインから成田空港方面への乗換えにも利用したいところだが、京成関屋駅に停車するのは普通のみ。牛田駅も区間急行・区間準急・普通のみ停車する駅となっている。

東武スカイツリーラインの牛田駅

京成本線の京成関屋駅

ここで紹介した4例の他にも、国際展示場駅(りんかい線)と有明駅(ゆりかもめ)、豪徳寺駅(小田急電鉄)と山下駅(東急電鉄)、京橋駅(東京メトロ)と宝町駅(都営地下鉄)などが挙げられる。東京メトロや都営地下鉄が指定した乗換駅も含めると、「意外に近い別名の駅」はかなりの数になる。それとは逆に、「意外に離れている同名の駅」もある。

どちらもあらかじめ知っておくと、ちょっとした用事で都内を移動するときに便利。「今日は築地で用事だから、有楽町線に乗って新富町駅で降りよう。そのあと日比谷線に乗って人形町でごはん食べて、半蔵門線で帰ろう」というように計画も立てられる。いつもは面倒な電車の乗換えが楽しく感じられるかもしれない。