新潟県新潟市の新潟市美術館は、10月5日まで、企画展「荒木経惟 往生写集-愛ノ旅」を開催している。

展示作品「センチメンタルな旅」(1971年)

荒木経惟の「愛ノ旅」に触れられる写真展

同展は、「アラーキー」の名で知られる写真家・荒木経惟(あらき・のぶよし)の写真展。

氏は1987~88年に頻繁に新潟を訪れ、中心街・古町などを撮影。女優・大竹一重との「旅の情景」をまとめた写真集「冬恋」(1998年刊)でも新潟を舞台に選んだ。2012年には「写真に対する強い信念と挑戦者魂にあふれた」生きざまによって、第6回安吾賞を受けている。

展示作品「冬の旅」(1990年)

同展のタイトル「往生写集(おうじょうしゃしゅう)」は、氏の現在の心境を捉えたもの。2000年以降、前立腺がん発症と摘出手術、妻亡き後唯一の家族であった愛猫・チロの死、東京都内で遭遇した東日本大震災の経験などを経て、氏は自らの「死=往生」を意識しはじめたという。

それに対し同館は「しかし、その写真は『死』の闇や恐怖に支配されてはおらず、話題の人物・現場を取材した『アラーキーのニッポン(仮)』(新潟日報ほかで連載中)をはじめ、同展に出品される新作には、時代の空気を呼吸しながら、日常の営みや身近な幸福をいとおしみ、肯定する荒木の姿勢の現在が示されている」とコメントしている。

展示作品「新潟エレジー」(1988年)

展示される作品からは、妻や愛猫との日々に始まり、虚実取りまぜた新潟への旅、そしてひろやかな人間愛に満ちた最新作に至るまで、氏の尽きることない「愛ノ旅」を体験できるという。また、会期中はアラーキーの対談や学芸員による解説、ワークショップの開催などさまざな関連イベントを開催する。

会期は10月5日まで。場所は新潟市中央区西大畑町5191-9 新潟市美術館。開館時間は9時30分~18時。休館日は8月18日・25日、9月1日・8日・16日・24日・29日。観覧料は一般1,000(税込)、大高生800円(税込)、中学生以下無料。