マレーシア・ペナン島のマラッカ海峡に面する港町、テロバハン。そこで生まれ育ち、漁師として暮らしている海好きなジュアンさんにお話を伺いました。結婚資金のためにホテルでも働き、1日15時間労働で無事に結婚! 今は、釣った魚をその日に売るというゆったりしたシンプルライフを送っています。
■これまでのキャリアの経緯は?
13歳から漁師をやっています。父が漁師で、自然と手伝うようになりました。兄(36歳)、弟(27歳)も漁師です。僕が住んでいるペナン島のテロバハンは、海辺にある町で、代々漁師の家が多くあります。
■現在のお給料は以前のお給料と比べてどうですか?
給料制ではなく、1日の売上額が収入になるので、金額は日によって違います。1日300リンギ(約9,660円)稼げる日もあれば、50リンギ(約1,600円)の日も。天候や潮の流れに左右される商売です。10~12月は比較的、漁獲量が多いので、その時期は生活も安定するといった具合です。
転職したことはありませんが、以前、ホテル勤務と漁師をかけもちしていたことはあります。その頃結婚したい人がいて、結婚資金を貯めるためには、漁師だけの収入では難しかった。朝7時~昼3時までホテルで働き、夕方5時~夜11時までは漁に出る。この暮らしを3年間続けて、ようやく結婚資金を調達! 結婚した今は、また漁師だけの生活に戻っています。
■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?
海を眺めているのがとても好きなんです。漁に出ていないと、もう出たくて出たくて(笑)。ホテルで働いていた時は、周りからのプレッシャーを感じることもありましたが、漁師ではあまり感じません。
■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?
コストがかかること。3年前に中古の船を購入し、2,500リンギ(約80,000円)を支払いました。エンジンのトラブルが時々あり、修理代が結構かかります。また、1回の漁で燃料代はだいたい30リンギ(約960円)必要。たいてい2人で漁に出るので、売り上げが100リンギ(約3,200円)だとすると、燃料代を引いた70リンギ(約2,240円)を2人で分けることになります。厳しい~!(笑)
■休みのとりかたは?
定期的な休日はなく、漁に出られない日が休み。雨はまったく問題ありませんが、波が荒い時は危険なので出ません。
■日本人のイメージは? あるいは、理解し難いところなどありますか?
ホテル勤務時代、日本人の宿泊客と接する機会がありました。日本人は礼儀正しいですね。英語が話せない人も多いですが、ちゃんと僕の言うことを理解してくれるし、理解しようと一生懸命に聞いてくれます。他の外国人は一方的に自己主張をする人も多いけど、日本人はそういう人はいないので、好感を持っています。
■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?
最近はあまり見ないですね。覚えているのは3年前のTSUNAMIのニュースです。あのときはペナンにも波が来ました。
■ちなみに、今日のお昼ごはんは?
妻の作ったフィッシュカレー。たいていランチは、僕の釣った魚で、妻がカレーを作ってくれます。カレーと白い飯、それに野菜炒め。とてもおいしいですよ。
■将来の仕事や生活の展望は?
これからもずっと漁師をやっていきます! 海が好きですし、僕にはこれしかありません。でも、息子が漁師になりたいと言ってきたら……反対するかもしれません。13歳から海に出ているので分かるのですが、昔はもっと魚がいたんです。年々ペナンの海は魚が減ってきていて、金銭面のことを考えると、漁師という職業は厳しい時代になってきました。息子には就職してほしい。けれど、僕に似て海好きだからなぁ。それはうれしいような……微妙だな(苦笑)。