財務省は9日、2014年4月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は1,874億円の黒字となった。黒字は3カ月連続となったものの、黒字幅は前年同月比で5,969億円(76.1%)縮小し、4月としては比較可能な1985年以降で最小となった。

貿易・サービス収支は1兆4,401億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で2,104億円拡大した。赤字は25カ月連続となる。

貿易収支は7,804億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で722億円拡大。自動車や科学光学機器を中心に輸出が増加したものの、液化天然ガスや半導体等電子部品を中心とした輸入の増加が上回ったことが影響した。

輸出額は前年同月比3,490億円増の5兆9,796億円で、14カ月連続の増加。輸入額は同4,212億円増の6兆7,600億円で、18カ月連続で増加した。

経常収支(出典:財務省Webサイト)

また、同省関税局がまとめた2014年4月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比2,917億円増の6兆675億円。主要地域別では、対中国は同972億円増、対EUは同718億円増など。商品別では、自動車が同439億円増、科学光学機器が同253億円増、プラスチックが同203億円増などとなった。

輸入額は前年同月比2,261億円増の6兆8,792億円。主要地域別では、対中国が同1,132億円増、対EUが同575億円増など。商品別では、液化天然ガスが同639億円増、半導体等電子部品が同540億円増、原粗油が同1,404億円減などとなった。

サービス収支は6,597億円の赤字で、赤字幅は前年同月比で1,382億円拡大。このうち、訪日外国人数が増加したことなどにより、「旅行収支」は1970年7月以来約44年ぶりの黒字(177億円の黒字)となった。一方、海外での研究開発や資源開発の増加などで、「その他サービス収支」が赤字幅を拡大し、全体では赤字幅が増えた。

第1次所得収支は1兆8,331億円の黒字で、黒字幅は前年同月比で2,882億円縮小。直接投資に係る配当金・配分済支店収益の受取減少等により直接投資収益が減少したほか、証券投資に係る債券利子の受取減少により証券投資収益も減少したこと等から、第一次所得収支の黒字幅は5カ月ぶりに縮小した。