ウォーゲーミングジャパンの本社「Wargaming.net」は、長らく協力関係にあったロシア・クビンカ戦車博物館との「VIII号戦車マウス共同レストアプロジェクト」を正式に発表した。不完全な1両のみが現存する世界最大の重戦車「マウス」が完全に復元されるという。

「VIII号戦車マウス」

「VIII号戦車マウス」は第2次世界大戦中、ドイツが開発した重戦車。巨大な車体に重装甲を装備し、その重量は188トンという想像を絶するものだった。当時はもちろん、現在でも世界で最も重い戦車といえる。実戦での活躍はなく、一部のマニアのみ知る存在だったが、日本ではアニメ『ガールズ&パンツァー』第11・12話で登場。一気に知名度が上がった。

2両のみ試作車両が製作されたものの、間もなく終戦を迎えたことで、秘密保持のためにドイツ軍によって爆破処理された。したがって完全な形で現存する車両はなく、その2両から損傷が少ない部位を運び、1両に組み立てた車両がロシア・クビンカ戦車博物館に展示されている。今回のプロジェクトは、この「マウス」を完全に復元しようというものだ。

現在展示されている車両は、外観こそ完璧に見えるが、爆破で完全に破壊された内部機器はすべて取り払われている。過去の資料、設計図、情報などを頼りに、失われた内部機器を1から造り上げるという。

パーツ類は戦車製造工場で特別に製造され、この作業はすべて、戦争経験者のレストアスペシャリスト監督の下に行われる。復元が完了した「マウス」は、クビンカ戦車博物館で正式に一般公開される予定だ。「Wargaming.net」は、全世界で会員数8,000万人を誇るオンラインゲーム「World of Tanks」を運営しており、これまでにもさまざまな戦車のレストアを行い、軍事的歴史の保持に協力している。