第3局・豊島将之七段 対 YSS

第3局観戦記 豊島将之七段 対 YSS - 人間が勝つ鍵はどこにあるか

YSS開発者・山下宏氏:今回、負けはしましたが、大阪のあべのハルカスという舞台で、電王手くんを前に豊島さんと指せたことは、私のコンピュータ将棋をつくってきた歴史の中でも、大きな記憶に残るできごとでした。そして、YSSとの練習で豊島さんの将棋が良い方向に向かわれたという話をお聞きしました。今後、豊島さんが活躍をされれば自慢になりますので、近い将来タイトルなどをとっていただければと思います。

豊島将之七段:第3局の記者会見が終わった後、山下さんとお話させていただいて、すごくいい方だなと思いました。自分がYSSとたくさん指したことによって、これから活躍できたらいいなと思っています。もともと自分が強くなれたらという思いから(電王戦への)出場を決めたましたが、今、もっと強くなりたいという気持ちがさらにでてきて、これからもがんばりたいと思っています。

第4局・森下卓九段 対 ツツカナ

第4局観戦記 森下卓九段 対 ツツカナ - 森下九段とツツカナが創り出したもの

ツツカナ開発者・一丸貴則氏:前回の第2回電王戦にも出場しましたが、今年また熱い対局を見せていただいて、今すごくモチベーションがあがっています。というわけで、明日は日曜日なので休むんですけど、月曜日からはさらなる精進をしていきたいと思っています。ありがとうございました。

森下卓九段:私も久しぶりに刺激のある将棋を指すことができまして、ここしばらくは、解説する側でやっておりましたが、久しぶりに解説される側にまわるというのはこんなにも気持ちのいいものか、ということが正直ありました。ツツカナは非常に強いですし、私も第4局では力いっぱい戦いましたが、どうしても最後でミスがでてしまい悔やまれる部分があります。先ほども磯崎さんが言っておりましたが、私も以前から(同じようなことを)思っておりました。現行の人間対人間のルールをそのまま人間対コンピュータで適用していますが、将棋は99手うまい手をやっても一手ミスがあるとすべてパーというゲームなんですね。ですから、今回プロが技術的に負けていると――前回も負けたので、そう思われても仕方ないのですが、技術的に負けていると思われるのは非常に悔しいと思っています。

自分なりに考えたのですが、持ち時間3時間で、秒読みは1手15分、プロ側が盤駒を使っていいというルールでやりましたら、おそらく最強ソフト5台と対局しても私の5戦全勝ほぼ間違いないと思っております(笑)。もしそうではないと思う方がいましたら、一回やらせてもらえたら、それを証明してみせようと思っております(会場拍手)。これは私に限らず、ある一定水準以上のプロ棋士でしたら、(その条件だと)まず間違えるということがありませんので、例えば事前にソフトの貸出を受けて、ツツカナさんはこうやる、Ponanzaさんはこうやるとか、そういうものは全く一切不要です。そのレベルのプロを負かすとなると、プログラムや評価関数ではなくて、定跡そのものを覆すといったレベルにならない限りは、おそらく負けないのではないかと。論より証拠で、いつでも言われればやろうと思っておりますので、ひとつスポンサーの皆さまよろしくお願いいたします。