春の陽気が続くこのごろ。東京都心では25日、桜の開花が確認された。となれば、いよいよあの楽しいイベント「お花見」シーズンの到来だ。さらに3月、4月は歓送迎会も重なる時期。何かと断れない酒を飲む機会が増えるこの時期に気になるのが、酒の飲み方だ。どうせ飲むなら「楽しく」「気持ちよく」飲みたいものだが、気がつくと泥酔してしまったり悪酔いしてしまったりした経験はないだろうか。せっかくの楽しい気分を壊さないための「乱れない飲酒法」のポイントをまとめてみた。

「楽しい酒」にするために覚えておきたい4つのポイントとは

泥酔と悪酔いの原因は、飲酒のスピードにある

もともと日本人は、欧米人らに比べて、酒にあまり強くない体質と言われている。酒には「エチルアルコール」という物質が含まれているが、肝臓で分解されるときに毒素が強い「アセドアルデヒド」という物質に変化する。このアセドアルデヒドが、酒を飲んだときに起こる動悸(どうき)や吐き気、頭痛などを引き起こすのだ。

アセドアルデヒドを分解する働きを持っているのが「ALDH2」という酵素で、この酵素が効率よく働く人は「悪酔いせずに飲める体質」ということになる。だが、日本人はこのALDH2の働きがよくないケースが多いために酒に弱く、無理して飲むと悪酔いや泥酔をしてしまう人が多いのだ。ただ、ALDH2が効率的に働く人でも、以下の3つの飲み方は悪酔いするので注意しよう。

・ハイピッチな飲み方は危険

ALDH2が働く体質であっても、そこまで急激に分解酵素は働いてくれない。そのため、乾杯の勢いでガブガブと飲み続けると酵素の代謝が追いつかず、悪酔いしてしまう。当たり前かもしれないが、「飲むスピードは酔いと比例する」ということを頭に置いて、酒を飲むことが肝腎なのだ。

・空腹時はアルコールがスムーズに分解されない

空腹状態で酒を飲むと胃壁に負担をかけるだけでなく、アルコールを分解するために懸命に働く肝臓もスタミナ不足状態になってしまう。酒を飲むなら肝臓がうまく働いてくれるように、タンパク質などの栄養素をしっかり摂取することが大事だ。

・毎日の飲酒は、肝臓の働きを確実に悪くする

シーズン的に毎日飲み会があるなんてことも多いかもしれないが、連日の飲酒は、確実に肝臓の機能を低下させる。それだけではなく、肝臓の機能にも負担をかけることで、後々にダメージが出る可能性もある。2日連日で飲酒した場合は3日目は休肝日にして、3日以上の「連チャン」は避けるようにしよう。

悪酔い・泥酔防止には「飲む前の準備」が大事

内臓は年齢とともに、その機能が徐々に低下していることが多い。さらに、酒をよく飲む人はそれだけ肝臓に負担をかけるので、アルコールの分解機能が低下するだけでなく、脂肪肝や肝硬変という病気になる可能性も高まる。さらに、飲酒でダメージを受けるのは肝機能だけではない。酒(特に日本酒)は糖質量も多いため、メタボや糖尿病、高血圧などの大きな要因にもなる。

泥酔・悪酔いしない飲み方をするためには、飲んでいるときはもちろん、事前に「飲むための準備」をしていくことが大事。下記の対策を読みながら、「楽しめるほどほどの量」を自分なりに探してみてはいかがだろうか。

対策1 酒を飲む日のランチは、タンパク質を含むメニューを

肝臓の細胞の代謝がアルコールの分解にも深く関わってくるが、肝臓の細胞の再合成を助けてくれるのがタンパク質だ。タンパク質をきちんと摂(と)っていると、酒を飲んだときに体調が悪くなるアセトアルデヒドの量が増えにくいという傾向がある。卵、チーズ、肉などの必須アミノ酸のバランスがよい動物性のタンパク質が一番オススメ。食べてから2時間で再合成が始まると言われているので、飲む前にまず焼き肉やステーキなどを食べてからというのが一番理想的。仕事終わりですぐ飲み会というときには、ランチから肉や魚など動物性タンパク質をしっかり摂(と)っておこう。

対策2 乾杯前に一杯の水を飲む

「そんなの酒がまずくなる! 」と言われてしまいそうだが、この1杯の水が体の負担を大きく変える。特に新入社員など酒に慣れてない人たちは、周囲のノリにあわせて飲んでしまうことも考えられるが、まずは気持ちを落ち着かせるためにお水をコップ1杯飲んでおくといいだろう。どうしても最初の1杯をアルコールにしたいという人は、乾杯の1杯後は調節をすべき。ペースが上がりすぎないように、コップ1杯の水を必ず用意して、交互に飲むなどの工夫をしよう。

対策3 おつまみのポイントは「高タンパク質+ビタミン」

つまみを食べずに酒を飲むと、肝機能に栄養が行かない。すると肝細胞の再生が悪く、肝細胞内の代謝が滞ってしまうので、必ず食べるようにしよう。このときに焼きそばやお好み焼きのような炭水化物が多いおつまみよりも、肉、魚、卵、チーズなどの高タンパクなものを選ぶのがポイント。ビタミン類も肝細胞内の代謝をサポートしてくれるので、サラダ類などもプラスするようにしよう。ウコンやしじみなど、アルコール対策のサプリメントだけ飲んで、つまみなしで酒を飲む人がいるが、ウコンやしじみも肝臓のもとになるタンパク質がないと効果的に働いてくれない。サプリの効果を高めるためにもタンパク質摂取は必要なのだ。

対策4 ゆるゆるダラダラ飲みに徹する

酒のピッチを上げるとアルコール代謝が追いつかなくなる。他人のペースに飲まれないようにすることが大事。1杯を一気に飲むことなく、飲みきるまでに口に運ぶ回数を増やすように意識してみよう。飲みのスタートに意識するだけでも、ペースはかなり落ちるはずだ。