三重県志摩の安乗は、天然トラフグのブランド魚「あのりふぐ」や、海女さんがとってくるアワビやサザエなどが水揚げされる魚介類の豊かな土地だ。その安乗で観光客を迎える客室5部屋の小さな宿「おおなみ」は、家庭的な雰囲気と地魚を使ったおいしい料理、そして「おかみ猫」が名物の民宿として知られている。
海の幸を堪能したい人におすすめ
安乗は的矢湾の入口にある岬で、その先端に立つ「安乗埼灯台」は日本の灯台50選に選ばれており、訪れる観光客も多い。また、秋から春にかけて水揚げされる天然トラフグのブランド魚「あのりふぐ」や、海女漁でとれるアワビやサザエなどの豊富な魚介類でも有名だ。
今回紹介する民宿「おおなみ」も、新鮮な魚介類を振る舞う宿として知られ、あのりふぐを使った「ふぐ懐石コース」を始め、伊勢志摩地方ではエビス貝と呼ばれているメタカアワビを使った「えびす料理」、安乗漁港でその日にとれた魚を使った「地魚会席コース」といった料理を出してくれる。また、自分で魚を釣ってみたい人には釣り船を紹介してくれたり、少し足を伸ばせばジュゴンやアフリカマナティー、ダイオウグソクムシが飼育されている鳥羽水族館もあったりなど、海の恵を思う存分楽しむことができる。
「おかみ猫」修行中のママ猫と4匹の子猫たち
おおなみには、宿泊客を客室まで案内し、朝に起こしに来てくれるなどの仕事をこなし、宿泊客を癒やしていた「ムーちゃん」というおかみ猫がいた。残念ながら、2011年7月に14歳4カ月という天寿を全うし、現在は代替わりをしている。2代目のおかみ猫として修行中なのは、晩年のムーちゃんを元気づけるために迎えた、当時は子猫だった「メーちゃん」だ。
メーちゃんはグレイと白が程よく混じった柄で、人の言うことがよく分かる頭の良い3歳の猫。2012年11月に6匹の子猫を出産して、一生懸命育てたママ猫でもある。おかみ猫としてムーちゃんの域に達するには時間がかかりそうだが、ロビーで遊ぶ子猫たちをいつも目を光らせて見守っているとのこと。メーちゃんの他には4匹の子猫たちが住んでおり、それぞれの名前と特徴は下記の通り。
「あつし(通称 : あっつん)」…1番身体の大きなキジトラの雄。行動力も1番で人の言葉が分かっており、呼ばれるとちゃんと寄って来るし、だっこも嫌がらない。唯一の雄なので、おかみ猫ならぬ「番頭さん猫」だ。
「たかひろ」…アメリカンショートヘアーの感じが残る柄で、ふわふわな尻尾とまん丸な目が特徴の雌。雌だけど、女将さんがファンだというEXILEのメンバーにちなんで名付けられた。
「ぼんちゃん」…真っ白い身体に2つの丸い柄が特徴の雌で、宿泊客に「わ~、きれいな猫ちゃん!!」と言われることが多い美猫。人なつっこく、足元ですりすり攻撃が武器だという。
「うさ(別名 : ハイター)」…女性の宿泊客が見ると「おしゃれな子だね!」と褒められるという、小柄でおとなしい三毛柄の雌。
以上の5匹が、おおなみに住んでいる猫たちだ。さらに、館内外の至る所に猫グッズが置かれており、猫カフェならぬ猫民宿といった風情で、女将さんたちの猫に対する愛情が伝わってくる。新鮮でおいしい魚介類を堪能し、猫たちとふれ合える宿を探しているなら、おおなみがおすすめだ。なお、あのりふぐの漁期は2月末で終了しているので、足を運ぶ前にどんな魚介類が食べられるのか、確認や予約をしておこう。