焼肉「新楽井」のレンタル水中メガネ。これを装着して焼肉を食べているお客の姿はなかなか異様な光景ではある

世の中には独自の個性を発揮している飲食店がいろいろあるが、今回は大阪府と京都府から、ユニークなシステムやメニューを貫き貫き続ける話題のお店を紹介したい。

焼肉屋で水中メガネのレンタル!?

大阪市内の焼肉店・韓国料理店のメッカ鶴橋。ここに昭和の下町の風情そのままの焼肉屋「新楽井(アライ)」というお店がある。このお店では店内に入るといきなり、通常の焼肉店ではまず見られないものが並べられているのが目に入る。

何と水中用ゴーグルが置かれているのだ。そしてそこには、「煙用メガネ好評レンタル中!!」と書かれている。そう。これは煙が目に染みないようにと、お客用に提供されているものである。

メニューにも「煙よけ各種水中メガネ(レンタル)……\0」としっかり記載されている。同店は昔ながらの七輪で肉を焼くスタイルのため、肉を焼き始めると店内は煙がモウモウと充満してしまう。その対策として無料でレンタルしているのだ。

ちなみに同店では、席に付くと大きなビニール袋が渡される。これは、「上着やバッグはここに入れておいてくださいね」という意味。これも、お客さんの上着やバッグに煙の匂いが染み付かないための配慮というわけである。なお、ここは各種お肉が1人前200gというボリュームになっているので、頼みすぎにはご注意を。まずは、程よい量でいろんな種類がいただける「焼肉盛合せ1,680円」を注文するのがオススメだ。

鶴橋の焼肉店密集地から少し離れたところに佇む「新楽井」

メニューにもしっかり表記されている水中メガネのレンタル

●information
焼肉「新楽井(アライ)」
大阪市生野区鶴橋5-17-28

行列のできる天ぷら専門店の流儀

大阪府堺市の魚市場に、24時~翌朝9時という深夜営業の天ぷら専門店がある。「大吉」というお店で、一品100円~のサクサクの天ぷらや、アサリがたっぷり入った味噌汁(350円)など、安くてうまくてボリュームたっぷりなところが評判となり、連日大盛況のお店だ。

大阪ミナミの難波にも出店しており、こちらは朝11時~22時30分の営業。平日はランチメニューもあり、これまた800円~のお手頃価格にボリュームも満点で大人気である。

ただし、注意いただきたいのは、このお店、店内に入ると床に貝殻が散乱しているのだ。堺市、難波両店とも、貝汁の貝などを食べた後の貝殻は、床に捨てるようになっているのである。

見た目にあまり心地いいものでないのは確かだが、「どうせ閉店後に店内を掃除するのだから、お客さんごとに貝殻入れを用意するまでもなく、最後に一掃すればいい」という大阪人ならでは合理的考えといったところである。

揚げたての天ぷら、たっぷりの大根おろし、アサリ山盛りの味噌汁が大人気

店内を歩くとパリパリ、ジャリジャリと音がする

南海電鉄難波駅のショッピングモールなんばCITY飲食ゾーン「なんばこめじるし」にある「大吉」

●information
天ぷら「大吉」
大阪市浪速区難波中2-10-25 なんばCITY なんばこめじるし

チャーハンにチャーハン付きセット!?

一方、京都府京都市の中京区にある「チャーミングチャーハン」という中華料理店も、店名が示す通り面白い個性を発揮している。

一見すると普通の大衆中華料屋さんだが、メニューを見るとある特徴に気づく。ラーメンなどに半盛りのチャーハンが付いた「半ちゃんセット」といったメニューはよくあるが、ここは全ての単品にことごとく「チャーハン付き○○○円」と書かれているいるのだ。

例えば焼きそばや天津飯といった、通常あまりチャーハンが付かないような品にもチャーハン付きが網羅されている徹底ぶりで、何とチャーハン(400円)にまで「チャーハン付き」のセットがメニュー表示されている。そして、実際に「チャーハン付きチャーハン(600円)」を注文すると、チャーハンが2皿出てくるのである。

「チャーハン付きチャーハン」のユニークさが目立つ同店だが、+200円でチャーハン1人前が付けられる点や、お手頃価格でボリューム満点の定食があることなどから、学生やサラリーマンに非常に人気のお店でもある。

京都御苑と二条城の中間あたりに位置する「チャーミングチャーハン」

焼きそばや天津飯、そしてチャーハンにまでチャーハン付きセット料金を表示

チャーハン2人前より断然オトクなチャーミングチャーハンの「チャーハン付きチャーハン(600円)」

●information
チャーミングチャーハン
京都市中京区丸太町通油小路西入丸太町27-103 高陽院ハイツ103号

心優しき店長のいる伝説のお店

学生と言えば、京都にはお金に余裕のない学生などに配慮した独自のシステムを設けていることで話題のお店がある。それは有名な「餃子の王将」の出町(でまち)店だ。京阪電鉄出町柳駅から徒歩7、8分のところにあり、同志社大学今出川キャンパスのすぐ近く、そして京都大学からも十分歩いて来られるところにある。

こちらのお店の店頭には、「めし代のない人」と題された手描きの張り紙があり、そこにはこんな風に続けられている。「お腹いっぱいただで食べさせてあげます。但し食後30分間皿洗いをしていただきます」と。

まるで人情モノの芝居に出てくるような話を、現実に10年以上前から実施しているのである。「めし食う金もない学生さんも、しっかりごはんを食べて、勉強に打ち込んでほしい」と店長さん。「だから、これからもずっと続ける」とのこと。

基本的には18歳以上の学生に限るのだが、時にはパチンコなどでお金を擦ってしまったとおぼしき、明らかに学生ではない中年風で、この「代金の代わりに皿洗い」システムを申し出るお客もいるらしい。しかし、店長さんは断ることなく、了承しているそうである。

周囲には京都を代表する大学、同志社や京大がある「餃子の王将 出町店」

自身も若い頃苦労された店長ならではの粋なはからい

●information
餃子の王将 出町店
京都市上京区河原町今出川西入る二筋目上る一真町70

気になった方、今すぐ大阪・京都に出向いて、その目で舌で確認されたし!