貯蓄ゼロが約3割も!

「貯金していますか」と聞かれたら、あなたは満を持して「はい」と答えることができるでしょうか。貯蓄が多く自信がある人以外はなかなか答えにくい質問ですよね。もしかすると「全くない」という人もいるかもしれません。そこで今回は、気になるファミリー層の金融資産についてファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太さんに解説していただきます。

ファミリー層の金融資産の実態

ファミリー層の金融資産、気になりますよね。金融広報中央委員会の調べ(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(平成25年調査)」・金融資産保有世帯のデータ)によれば、2人以上の世帯であるファミリー層の金融資産額は全世代の平均で1,274万円(601万円)、中央値で500万円(カッコ内は、そのうちの預貯金額。以下同)。金融資産がある人全体の真ん中にいる人という意味では中央値を見るべきといえます。

20代のファミリー層平均値は335万円(231万円)、中央値120万円、30代はそれぞれ701万円(471万円)、400万円、40代が1,137万円(522万円)、560万円、50代が1,845万円(790万円)、1,000万円、60代が2,499万円、1,500万円となっています。シングル層は、全世代の平均値が1,645万円(905万円)、中央値が900万円、世代別にみると20代の平均値が366万円(266万円)、中央値265万円、30代が558万円(342万円)、350万円、40代が1,077万円(556万円)、645万円、50代が1,644万円(825万円)、1,000万円、60代が2,263万円(1,328万円)、1,374万円となっています。是非、ご自身と比較してみてください。

ここで気づくことは若い世代でも意外に金融資産を持っている人がいるということ。また、中央地で比較すると、ファミリー層よりもシングル層の方が20代や40代では金融資産額が多くなっています。子育て費用がかかるからなのでしょうか。はたまた共働きだからこそ使ってしまうのでしょうか(共働き家庭が貯蓄できない理由については既報の通り)。

実は貯蓄ゼロも3割存在

こうして見ると、「ウチは少ない。まずいな……」と思われる方も多いかもしれません。実は、このデータは金融資産保有世帯におけるデータを表しているものであり、実際には金融資産なしの家計を含めるとこの金額は大きく減少することになります(だからといって「良かった」と安心しないでくださいね)。

驚くべきことに、同データによれば、金融資産を保有していない家計は調査対象の31%であるとのこと。過去最高を更新中と恐ろしい結果になっています。つまり、上記データはあくまで預貯金などがある世帯の中での比較であって、全くない人を入れると様変わりしてしまうことになります。

裏返して言えば、中央値で見ても金融資産を保有する人とゼロの人では大きく差が開く結果となっており、ある意味格差は広がる一方とも捉えることができます。

思い立ったが吉。特に金融資産がゼロの方、後々の生活に困らないようにするためにも、貯める意識を持ちましょう。また、余分な出費をしていないか見つめてみましょう。外食費を減らすだけでも貯蓄は確実に増える要素になります。まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。