小学生と3歳の2児の母親でもあるフリーライターの桜糀はなです。私が住んでいるのは、認可保育園に子供を預けられないママたちが集団で区に異議申し立てを行い、「待機児童問題」で一躍注目された東京都杉並区。ここでは、全国有数の保育園激戦区で、下の子を認可園に入れるまでの保活体験を紹介しよう。
1年前の申請で玉砕……情に訴えるより「点数」だと知る
思い起こせば1年前。何の知識も準備もないまま4月からの認可保育園入園申し込みをして、玉砕したところから私の「保活」は始まった。4月からフルタイムでの仕事が決まっており、既に3カ月以上もの間、近所の幼稚園で2歳児保育と一時預かりを利用しながら働いていたこともあって楽観視していたのが大間違いだった。ここで「点数」というものが、いかに大切なのかを思い知ったのだ。
自治体によって点数のシステムは若干異なるようだが、杉並区の場合はまず両親の勤務時間などによって基本の指数が決まる。そこから「ひとり親世帯」「未就学児が3人以上」などの加点や、「申込み児童を北しながら就労している場合」などの減点があって、世帯の点数が決定。希望する保育園への申込者のうち、この点数が高い順から内定していく仕組みなのだ。
では、何点を目指せば選考の対象になるのか。区の保育課に教えてもらったところ、3歳児クラスで既存の認可保育園の募集はあっても1~3人程度。私の住む地域の保育園で内定の出た人の点数は43点以上という高いものだった。これがどのくらい高い点数かということは、月20日以上で8時間以上の就労状態、いわゆるフルタイム勤務が20点で、両親合わせて40点ということでおわかりいただけるだろう。
私の場合は「求職中」となるので当然フルタイム勤務より点数は低く、全くお話にならなかったのね……。そういえば申請の時、保育課の方の対応も「ま、一応預かっておきますかね」という感じだった。
先輩ライターから、「入園するためには嘆願書を書いて切迫した状況をアピールすべし! 服や髪は貧乏くささが鉄則よ」と10数年前の経験を教えてもらい、それを忠実に実行した私だが、情に訴える手段は厳然たる点数の前では無力であった。子供が寝たあと徹夜で原稿を書く大変さを必死で訴えたのも、点数的には子供が家にいる時間にいくら働いてもマイナスになりこそすれプラスには絶対にならなかったのだ。なんて無知だった私……恥ずかしい。でも、これで「保活」の方針は固まった。そう、いかに点数を積み上げるかなのである。(後編へ続く)
(文: エフスタイル桜糀はな)