楽天は1日、「楽天エナジー」による新サービス「電力マネジメントサービス」を開始した。当初は宿泊施設を対象とし、利用者の使用状況に応じて最適な電力を調達し、電気料金を低減するという。

同サービスは、「楽天エナジー」が利用者の代わりに電力の需給契約者となり、エネルギーデータを分析、その上で既存電力会社(一般電気事業者)や新電力などから最適な電力を調達し、従来よりも安価な電気を提供する仕組み。利用者のニーズに応じて、100%再生可能エネルギーだけで作られたグリーンな電気を供給することも可能で、楽天エナジーが整備するプラットフォームを通じて様々な選択肢を用意する。

また、継続的なコンサルティングによるエネルギーコスト削減に加え、トラベル事業を展開する楽天が持つ施設の売上アップに繋がる施策により、施設の収益改善を実現する全体的なエネルギーの最適化を目指す。詳細は、2014年初頭に開催する「楽天トラベル新春カンファレンス」において紹介する。

楽天はこれまで、電気料金の値上げや電力需給ひっ迫などの課題に対し、デマンドレスポンスの推進やBEMSによる見える化の推進など、楽天トラベルの契約施設を中心として、需要側での電気の効率的な利用を推進してきた。

同社が、これらのマーケティングを通じて得られたエネルギーデータを分析した結果、各施設における設備改善などの部分最適化の取り組みだけではなく、根本的な電力契約の見直しも含めた全体最適化がより有効であることが判明。併せて、電力を含めた施設のエネルギー利用は施設稼働率と強い相関関係があり、施設側からは楽天トラベルが提供するオンライン宿泊予約サービスとの連携に対する強いニーズが存在することも明らかになったという。

一方、国内の電力マーケットにおける新電力(特定規模電気事業者)のシェアは依然として低迷しているため、各電力会社による電気供給の詳細は利用者からはわかりづらい状況が続いている。同社は、電力システム改革の実現には、欧米諸国のような電力マーケット自体のさらなる活性化が必要であることがわかったとし、電力マーケットの活性化ならびに電力自由化を推進すべく、今回のサービスを開始したとしている。

今後は、「ITとエネルギーの融合」の観点から、利用者のニーズに応えることが可能なプラットフォームの整備、さらにはエネルギーデータ分析を通じて楽天グループとのシナジーを推進し、コスト競争力と高い付加価値を兼ね備えた新たなエネルギーサービスを展開していくという。